設定が甘いのよ!
公爵様の衝撃発言から何日か…。
だが、諦めない。私は諦めない。
私はエドウィンさんが好きなのだ。公爵様になんか負けない。
ここが異世界であることはもはやどうでもいい。
…何をしてでも(でも怖いことはやらないよ)この恋を叶えて見せる!!さっそく行動だ!
…と言うことで、私は今、エドウィンさんの身辺調査をしています。
だけど、ほとんど何も進展がない。エドウィンさんは1日を部屋にこもって過ごし、外出は週に一、二回ほどしかない。その外出も仕事で王宮に呼び出されるため、嫌々ながら行っているらしい。わかったことはそれだけだ。
…身辺調査がうまく行かない…。その一番の原因は、私がメイドさんたちに嫌われているためである。情報源がないのだ。
……これではだめだ。なんとかしてメイドさんたちと和解を(けんかしてないけど)しなければ。
あ、メイドさんたち発見。さっそく突撃!!
「あのー、すみません。みなさん最近、私のこと避けていらっしゃいますよね?私、なにかみなさんを怒らせるようなことをしてしまったのでしょうか?」
仕事が一段落ついて、つかの間の休息。
私は直球で聞いた。変化球は苦手なんだよね。
メイドさんたちは私の言葉に少しうろたえて、目線で言葉を交わしている。
ーーねぇ、どうする?なんて答える?
ーーもう正直に言っちゃいなよ。
ーーえ、私が言うの!?
ーーいや、あんたが言いなよ。
ーー無理無理。やめてよ。
…たぶん、こんな感じだ。
「怒らないので教えてください。私が悪いのなら、謝りますから」
もちろん悪いことは何もしていないので、謝るも何もない。とりあえず、このメイドさんたちから私の悪評を聞きだすのだ。
「それで、私は何をしてしまったのですか?」
そう言うと、覚悟を決めた一人のメイドが一歩前に進み出る。
メイド1「この前、あなたの噂をきいたのです。その、…あなたがエドウィン様に求婚したと」
他のメイドたちも前に進み出る。
メイド2「簡単に人の噂を信じるのはいけないことだけれど、旦那様がそれは事実だとおっしゃったから…」
メイド3「正直、あなたとはもう仲良くしたくないわ」
メイド4「帰るところがない、と言ったそうね。少し図々しいのではなくて?」
メイドさんたちは、私と話すのを渋っていたのが嘘のようにためらいもなくトゲのある言葉を吐く。
こ、怖い…。このメイドさんたち、なんかスイッチが入ったぞ…。なんか口調が厳しくなった…。
メイド3「そもそも森の中に迷い込んだだなんてそんなの嘘でしょう!?」
「あのー」
応答なし。メイドさんたちには既に私の声が聞こえていないようだ。
メイド1「そんなの信じるわけな…」
「あのー…」
聞いてくださーぃ。おーい。
メイド2「エドウィン様の弱みにつけ込んで…」
「いや、あのー…」
別に私はエドウィンさんの弱みなんて握っていませんよー。皆さんなんの話をしていらっしゃるので…?
メイド3「設定が甘いのよ!そもそもスパイならスパイで堂々としていなさいよ!」
スパイ?スパイってなんですのん?意味わからん。
メイド4「そうよね!こんなのバカでしょう!あなたそんな甘い設定でなんとかなると思ってたの!?」
メイド5「そうよ!あなたはアホよ!!」
メイド2「ほんとに…バカなの!?」
…とりあえず、このメイドさんたちを止めよう…。
そしてメイド5、いつからいたんだ…。気が付かんかったぞ…。足音もなく現れて怖い…。
「聞いてくださいっ!!」
大声でメイドさんの話をさえぎる。
「設定ってなんですか!スパイってなんですか!?私にわかるようにゆっくり話してください!一人ずつで!一人ずつでお願いします!!」
一列に並んで!悪評多いから!むしろそれもう私の悪口だから!そしてほんとに、聞き取れないから!!
メイドさんたちの話を要約すると…。
私がエドウィンさんにした告白騒動を中途半端に聞いたメイドさんたちは、私にいいイメージを持っていないそうで。森に一人で現れて怪しいし、スパイではないか。そして騙されたエドウィンさんが可哀想だと。…そう言っているんですね。
…よし。ここではっきり言っとこう!
「私がエドウィンさんを好きと言った気持ちに偽りはないし、私はスパイでもなんでもありません!!」
言いきった!言いきったぞ私!!
だが、メイドさんたちはまだ疑っている…。どうすればいいのか…。
こんなときは。
いでよ〜、マイマザー!!
―――はじめからこちらを疑ってかかっている相手に信じてもらうにはどうすればいいですか!?
…はい!わかりました!!胃袋をつかめばいいんですね!?
…その場合は?…肉じゃが、ですね!はい、わかりました!作り方は覚えてます!!やってみます!ありがとうございました!!
次回、メイドさんたちを肉じゃがで攻略!?です!上田みどり、日本代表で肉じゃがを作ります!!期待しててね…?
…ヤバイ、自信なくなってきた…。
メイド「設定が甘いのよ!」
そのあり「す、すいません!!ごめんなさい!」
メイドさんの言葉で、そのありに500のダメージ!!
誤字脱字、見つけ次第連絡求ム!!_(._.)_
※3月15日結構修正しました!前の話│(3話とも全部)もいいまわしとか変えました!