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だが、私は認めていない。

 帰るあてのない私は、エドウィンさんのおうちにお世話になることになった。

 メイドとして雇ってくれるんだって。


 やったね!私の魅力にやられたか?


…ってそんなわけないよね。ただ私がエドウィンさんに無理言って頼んだけなんだよ、そんなに現実は甘くない。

 …だって森の出口もわからなかったし、街にもそんなに魅力を感じなかったし…。これはもうついていくしかないでしょ?


 森の出口には一台の馬車が待たせてあって、御者ぎょしゃ席にはダンディーなおじさまがいた。


「彼はギデオン。御者ぎょしゃ兼俺の護衛だ。口が硬い代わりになにも喋らない。喋れないわけではないらしいけど。少なくとも俺は声を聞いたことがない」


 エドウィンさんはそう言っていたけど、あいさつくらいはしようっと。第一印象は大事だよね!


「今日からエドウィンさんのとこにお世話になります上田みどり、いや、ミドリ・ウエダです。よろしくお願いします」


「彼女は先代の王と同じ、ニホンの出らしい」


 ギデオンさんは私を見て、少し驚いたように目を見開いたようだけど、一言も喋らなかった。




 *


 メイドになって約一週間。

 エドウィンさんの屋敷のメイドには簡単になることができた。


 この屋敷の主人はレオナード・ローズベルト公爵様。一度話したけど優しい人だった。

 エドウィンさんは公爵様の息子なんだって。

 髪の色は違うけど、目は同じ色だしなんとなく似てるね。母君ははぎみ様は随分前にお亡くなりになったそう。

 …これはこの屋敷で働くメイドの先輩方から聞いたこと。


 メイドさんたちは新参者しんざんものの私をすぐに受け入れてくれて優しい。


 …と思っていんだけど、3日前ぐらいから皆が冷たくなって、2日前には無視され始め…ついに今日は陰口まで叩かれています。何故でしょう?


 仕事に支障はないけれど、話の内容が聞こえない絶妙なラインで囁かれるそれはなんなの?


 気になるけれど誰に聞いても答えてくれないし。ギデオンさんは無口だから仕方ないけど、公爵様はお留守だし、エドウィンさんは屋敷にいるはずなのに見つからないし…。


 どうすればいいのでしょう?



 休憩時間になって一人庭に出ると、なんとそこには公爵様が。


「ちょっといいかい?」

 優しげな笑顔を浮かべる公爵様。



「あれ?お仕事でお城に行ったと聞いていたのですが?」

 私は思わず首を傾げる。


「まあね。ところで君、エドウィンに求婚したんだって?」

 公爵様は面白そうにこちらを見ている。


 あぁ、なんだかんだでうやむやになった告白の件。


「いえ、婚約を申し込んだのです。結婚を前提としたお付き合いをと」


 真面目にそう返すと、公爵様は大げさに驚きます。


「やはり本当だったのか!君は本当にエドウィンに婚約を!?」


 私が頷くと、公爵様は声をあげて笑った。

 なにがおかしいのよ!


「何がおかしいのですか!?」


 ムッとしてそう問うと、

「だって異世界から来た女神っていうだけでも信じられないのに、あのエドウィンに…?」と返された。


「女神?」

 それってまさか私のこと?


「ああ、君のことだよ。国王は神の国ニホンから来て、君もそう。だから女神。おかしいかい?」

 それは絶対におかしい。けどそれはおいといて…。


「エドウィンさんに婚約者は…?」


「いないよ」


 やったー!これからアタックだ~!


 表情は気をつけていたはずなのに、全力で喜ぶ私の心を見透かしてか、「君、脳天気だね」という公爵様。ニコニコ笑っているけど、それ絶対ほめてませんよね。むしろバカにしてますよね。


「君にはね、王からの伝言を預かってるんだ」


『王』という言葉に思わずピシッとしてしまう。そうか、公爵様は王様のもとへいっていたんだね。

 公爵様は姿勢を正した私を見てまた少し笑った。


「王はエドウィンとの婚約を認めるそうだよ。女神の優秀な遺伝子を是非に残してほしいそうだ」


 黙って聞いている私を見てニヤリと笑い、公爵様は続けて口を開く。


 あれ?…なんかイヤな予感。さっきと違って笑顔がこわいよ。


「…だが、私は認めていない」


「…っ!?」


 強敵だ。その笑みはまるで世界を滅ぼす魔王のようでもあり、落ちたお菓子に群がる蟻を踏み潰す、幼い子供のようでもあった。


「可愛い息子をそう簡単にやるとでも?」


 ーー私の異世界での初恋は簡単には叶いそうにありません。


 うわーん!!助けてマイマザーーーー!!!



読んでくださった方、本当に本当にありがとうございます!


みどりには頑張ってほしいですね!

公爵様、強敵です!


次話の投稿も未定です。明日かもしれない…、明後日かもしれない……。一年後かも……ってそれはありません。一週間以内には投稿したいと思います。頑張ります!

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