絶対にバレてはいけないひとり暮らし 〜彼女に宿ったささやかな能力〜
おかしい、ジャンル:現実世界〔恋愛〕の小説ランキングを見ててよーしこのジャンルで書いてみるかーと書き始めたのに….
高校の入学式まであと一週間。ようやく、荷物の整理が終わった。
学校から歩いて30分、自転車でだいたい15分。家賃月6万円ほどの2DKのアパート。
ここが、今の私の家だ。
『雪音、本当に大丈夫?』
「大丈夫、平気。お母さんも、心配しないで」
家を出てから、毎日電話がかかってくる。ひとりっ子で、ずっと両親と暮らしていたから、心配するのはわかるけど。
「もし大丈夫じゃなければ、学校に通う方法がなくなるし」
『そうは言ってもねえ…あ、お父さんと代わるわね』
う、お父さんの話、長くなりそう。
『いくら有名な進学校だと言ってもな、悪いヤツはどこにでもいる。仲良くなったからといって、すぐにアパートの部屋に入れるということは…』
それは、わかっている。私だって、そんな危ないことはできない。相手が男子であっても女子であっても。
実際のところ、女子の方が色恋沙汰が絡まない分、余計に面倒なことが起きることもある。高校生でひとり暮らしなのは割と稀だ。稀だけに、変な溜まり場にされかねない。あと、アリバイ作りとか。
「お父さん、私はクラスメートとかに、ひとり暮らしであることは言わない。遠縁の親戚の家から通っていて、間借りしている身で少し肩身が狭い、ってことにして」
『…そうだな、そういう話にしようと、雪音から言ってきたのだな』
「同じ中学からの知り合いは入学しないし、大丈夫だよ。もしかすると、同じ中学出身の先輩で私のことを見聞きしたことがある人がいるかもだけど」
それを言ったら、キリがない。先輩でなくとも、昔なじみの人とバッタリ再会するかもしれない。でも、同じようにとぼけるつもりである。住所も教えない。
「それじゃあね。明日、学校に行って、担任となる予定の先生と、話をするつもりだから」
『そうか、それがいいな…って、もしその担任が若い男性教諭だったら…!」
「女性ってことはわかってるよ。それじゃ」
やっぱり、長くなった。でも、心配してくれてるんだもんね、ありがたいと思わなきゃ。
実際、授業料や何やらの学校で必要なお金の他に、アパート代や生活費も出してもらっている。アルバイトは禁止されていないみだいだし、スマホ代くらいは自分で稼ぐようにしようかな。
さて、今日はもう寝よう。おやすみなさい。
◇
翌日。まだ春季休業中の学校に行き、早速担任の先生に会う。
「ええ、その方がいいわね。あなたに限らず、生徒の家の住所とかは、教職員でも必要最低限の人しか知らないから」
「よろしくお願いいたします」
「でも、そうね。実家がそんなに遠いと、PTAのお仕事はもちろん、三者面談とかも厳しいわね」
「必要に応じて、学校に来るそうですから」
でも、どうしても飛行機を使うことになるよね。お父さんやお母さんがいつでも泊まれるよう、予備の布団は既にあるんだけれども。
「アルバイトの件もわかったわ。禁止はしていないけど、届け出はしてね。ごくたまに、バイト先から学校に身元確認や問合せがあるから」
「わかりました。あ、それと、16歳になったら原付免許を取得するつもりなんですけど、大丈夫でしょうか?」
「それもウチは禁止していないけど、原付で通うならやっぱり届け出てね」
進学校だからなのだろうか、規則はむしろゆるい感じだ。
「そういえば、免許には現住所が記載されるわね…」
「…ああ、取得した後は気を付けないといけませんね」
住んでいる場所がわかってしまうものって、結構あるかもしれない。注意しないと。
◇
学校からゆっくり歩いて自宅のアパートに向かっていると、道の端で引っ越しのトラックが止まっていた。運転手の人と、私と同じくらいの年齢の男の子が、紙を見ながら何か悩んでいる。
「あ、君、この辺に住んでいる人?」
「え、は、はい」
あ、うっかり『はい』って言ってしまった。こちらもまだ引っ越したばかりだし、地元の人ほど詳しくないのに。まあでも、方向とかを教えることくらいはできるだろう。
「それじゃあ、このアパートがどこにあるかわかる?」
「…!!」
私の住むアパートだった。さて、早速困ったぞ!?
状況からして、私と同じように、あの高校に入学するために引っ越してきたと思われる。
担任の先生が知らなかったということは、既に別のクラスであることが決まっているのかもしれない。
考えに考えた末に、とりあえず私は無難な回答をする。
「ごめんなさい、わかりません」
「そうか…。なんか、新しくできたアパートみたいでさ、地元の人もよくわからないんだ」
「住所はわからないんですか?スマホの地図アプリで検索できると思うんですけれども」
「それが、どうもこのアパートのためだけに新しく地番が振られたみたいなんだよ」
それでも、大まかな場所はわかると思うのだけれども。というか、私はそれでわかった。
ふたりとも、住所がというよりも、この土地に不慣れな感じ。男の子はともかく、引っ越し屋さんの人と思われる運転手が混乱してるのはどうなんだろ。
はー、しかたがない。
「この町名なら、この方向だと思います。えっと、とりあえずあなただけついてきてくれますか?」
トラックと運転手さんを残して,男の子をアパートに連れて行く。
あまりに慣れた感じだとバレるから、途中で何度か立ち止まって方向を確認するような、そんなフリをしながら一緒に歩いていく。
「おお、あったあった!ありがとう!」
「いえ、どういたしまして」
目の前に自宅の部屋があるにも関わらず、その場を去る私。とりあえず、近所のスーパーにでも行くか…。
◇
買う予定のなかった食材とかを手に、アパートの近くまで戻る。スーパーのイートインコーナーでコーヒーを飲みながらスマホでネット記事読んで、かなりの時間をつぶした。
少なくとも、アパートの前とかでの荷物出し入れは済んでいるだろうと、少し遠くからアパートを眺める。うん、トラックとかはもうない。誰かが出てくる気配も…ない。
急ぎ足で自分の部屋に向かい、さっと扉を開いてさっと入る。さほど買い込んだわけではないから、素早く部屋に入ることができた。
「でも、これからどうしよう…」
ずっと同じアパートに暮らしていれば、いつかは顔を合わせることがあるかもしれない。いや、『かもしれない』どころではないだろう。明日にもバッタリ向かい合ってしまいそうだ。
もちろん、今から別のアパートを探して引っ越すなどということはできない。せめて、契約期限の2年間は暮らすことになるだろう。
「なんか、お腹痛くなってきた…」
ストレスなのだろうか、八方塞がりの状況に、体全体が鬱々な気分になってくる。
ああ、神様。私、なんでもします。しますから、どうかこの状況を解決する方法を教えて下さい…!
そんな風に悩みに悩んだあげく、私はいつの間にか眠っていた。私って案外図太い性格してるかもと思ったのは、翌日、目が覚めた時だった。
◇
ぐつすり眠ったからだろうか、割とスッキリした頭で洗面所に向かった私は、鏡を見て、腰を抜かすほどびっくりした。いや、最初はなんともないと思っていたのだが、妙な違和感に囚われてよーく鏡を見直して、そうしてようやく気づいたのだ。
「私が、鏡に映っていない…!?」
正確には、私自身だけでなく、着ていたはずの服やら何やらが全て消えていた。目の前で自分の手のひらをひらひらさせたつもりでもそれは見えず、あまつさえ、掴んでいる感触のある歯ブラシまで消えたいた。
え、これ、もしかして夢でも見ているの?それにしては頭はスッキリさわやかで、明晰夢か何か?でも、夢にしろ現実にしろ、このままだとものすごく困る…と思ったとたん、
「あ、見えるようになった」
何事もなかったかのように、普段通りの状態に戻った。あ、昨日、パジャマに着替えずに寝ちゃってたのか。シワシワだ。恥ずかしいなあ、誰かいるわけじゃないけど、見られたくないなあ…と思ったら、
「あ、また消えた」
そうして、何度か見えたり消えたりとしているうちに、なんとなく、いや、割とはっきりとコントロールできるようになった。
面白いのは、たとえば、手に持っていた歯ブラシだけを見えなくする、ということもできるようになったことだ。ものは試しにと、服は消さずに体の方だけ消してみたり、その逆をやってみたり。うん、逆の方はもうやめよう。
そうして、一通り能力を使いこなせるようになった私は、目を閉じて、手を組んだ。
「神様、ありがとうございます!この能力を使って、ひとり暮らしがバレないようにしろ、ということなのですね…!」
私は別に何かの宗派に属しているというわけではないが、結構、信心深い方だ。神社があれば必ずお参りするし、お寺があればやっぱり手を合わせる。教会で礼拝しているところに居合わせたら、信者の人達と一緒にお祈りしてしまう。節操ないな、私。
「でも私、なんでもします、って思っちゃったよね…」
何か代償があるのかな。近所の神社にお賽銭入れてこようかな。とりあえず、1枚ほど。
とにかく、私はこの能力を、ひとり暮らしを隠すためだけに使うことを誓った。悪用しようとしただけで神様が使えないようにしてしまうかもしれないからね。
◇
早速、部屋の扉を開けてアパートから出る私。もちろん、姿を消して。
って、おわっ。
「…あれ?扉が開いたような音がしたはずなのに。気のせいだったのか?」
早速、あの男の子にアパートの前で接近遭遇。間違いなく気づかれていないようだ。
男の子がいる横をそーっと歩いて、表札を見る。ふむふむ、『柿崎』くんね。覚えておいて、後で担任の先生経由で確認してみよう。
「この辺でいいかな…」
アパートから少し歩いて、曲がり角の、死角になっているところで姿を見えるようにする。通行人には…気づかれていないな。よし。
そうして私は、誰にも気づかれないまま、入学式までに街中でも能力を使いこなせるようになっていた。もちろん、街中で悪用やイタズラはしていないし、これからもすることはないだろう。せっかく与えてくれた神様に申し訳が立たない。
そして私はあらためて、この能力を、ひとり暮らしがバレないようにするためだけに使うことを神様に誓った―――
◇
夜の街にひとり佇む人物が、つぶやく。
「おかしい。この街には私を含めて10人の異能力者が出現するはず。しかし確認できたのは、敵勢力を含めて、9人。最大にして最強の異能、無の極致が確認できていない…」
このままでは、この街のパワーバランスが崩れ、ひいては、世界のあらゆる空間にひずみが走る。なんとしても、最後の異能力者を私の手で確保しなければ…!
そうして、その人物は、闇に消えていく。
◇
今日も私のひとり暮らしはバレていない。そして、私の能力もバレていない。神様に感謝である。
あれから、あの男の子、柿崎くんとは、高校では顔を合わせ、引っ越しの時とかを話題にしたものの、未だ私が同じアパートに住んでいることは知られていない。私は表札出していないし。
また、何度か私の後をつけてきた人達がいたが、いつも曲がり角で姿を消して行方をくらませた。いや、ある意味、普通に自宅に向かっただけではあるのだが。でもそのおかげで、つけてきた人達にも私のひとり暮らしはバレていない。
「雪音、帰ろ!」
「うん、芽衣」
仲の良い友達もできた。そんな彼女にも、私のひとり暮らしは秘密だ。
「ねえ、雪音の住んでる親戚の家って、やっぱり教えてもらえないの?」
「ごめんね。家の人にあまり気を遣ってほしくないんだ。門限はないんだけどね」
「そっかあ。まあ、いいや、カラオケ行こ、カラオケ!」
他のクラスメートも誘った私達は、カラオケのあるショッピングモールに隣接する商業地区に向かう。ウチの高校は寄り道とかにもうるさくない。本当に、自由な校風だ。
「…!」
「どうしたの、雪音?」
「ううん、なんでもない。行こう、芽衣」
また誰か、後をつけている。ひとり暮らしがバレないよう慎重になっていたら、後をつけてくる人がすぐにわかるようになった。
しかし、今は別に帰宅中ではない。それに、友達もいる。能力を使うまでもないだろう。
◇
カラオケ店で、芽衣とふたりで熱唱したメドレーも一段落ついた頃。
「え!?誰か後をつけてきたの!?」
「う、うん。私の勘違いかもしれないけど」
「け、警察に知らせた方がいいかな…?」
うーん、知らせてもいいけど、私の自宅におまわりさんと一緒にくるのはやめてね。ひとり暮らしがバレちゃうから。
「あっ!」
「えっ」
カラオケの最中、急に停電になった。しばらくして、受付の人が部屋にやってくる。
「お客様、申し訳ありません。この地域一帯が停電となったようです。隣接するショッピングモールも同様のようです。今しばらくお待ち下さい」
停電か。長引かないといいなあ。
しかし。
「長い、ね」
「うん…」
本当に、どうしたんだろう。
「私、トイレに行ってくる」
「え、停電中に大丈夫かなあ」
「洗浄システムが動いていないと思うけど、それ以外なら大丈夫だと思うから」
そうして私は、芽衣とカラオケをしていた部屋を出る。昼間でも電気が点いてないと暗くて…あ、トイレあった。
手早く済ませた私がトイレの外に出ると、
「きゃっ!?」
「静かにしろ。乱暴はしない」
男の人らしき誰かに後ろから急に口を塞がれ、腕もとられて体の身動きがとれなくなった。これ、充分乱暴していることになると思うんだけれども。
「ここに、怪しいやつがいなかったか?ああ、俺以外で」
あ、怪しいってちゃんとわかってるんだ。
「んー、んー」
「すまん。口を塞いでいたな」
「…ぷはっ。そんな人、いませんけど」
「そうか。俺の探知能力は100mまで近づくと飽和するからな…」
探知?何を言っているのだろう…。
ん?能力?この人も、神様に何か能力を授かったのかな?
「敵対勢力でなければいいが…。ん、悪かった」
私から手を外したその人は、静かに早歩きするように去っていく。
「なんだろう。能力…ってことは、探していたのは私なんだろうか。だとすると…」
部屋に戻り、クラスメート達に話をする。
「ごめん、私、帰る」
「え、さっき店員さんが来て、サービスの缶ジュースもってきてくれたのに」
「ちょっと用事思い出しちゃったんだ。ごめんね、また明日」
そう言って、荷物を持って廊下に出る。今は…店員さんはいないか。
持っていた荷物ごと、姿を消す。
◇
カラオケ店を出て、あの男の人の姿を探す。
…いた!もう少しで、見えなくなるところだった。
足音を立てないようにしつつ、こちらも足早に追いかける。
「見つかったか?」
「いや、見つからなかった。どうやら、密集した商店街のどこかにいるようだが」
「お前の知の栄光でもわからないとはな」
広い駐車場のところで、別の男の人と合流した。お仲間っぽい雰囲気で話し始めている。
「…む?」
「どうした?」
「まだ、探知反応の飽和が消えない。あの地区から100mは離れているはずなのに」
やっぱり、私を探していたようだ。
でも、困ったな。100mほど離れると方向がわかるってことだよね。
逆に言えば、いくら姿を消しても、存在がわかってしまうということだ。
「無の極致の異能力者がお前に…俺達に近づいているということか?」
「そういうことになる。預言書とやらにある異能力者の最後のひとりだからコードネームはわかるが、具体的な能力まではわからない。そこが、もどかしい」
ぱーふぇくと?くらうん?なんだろ。ゲームか何かかな?
でも、預言書、って言ってたよね。やっぱり、神様が関係あるのかな?
「しかし、俺達のような能力を保有して、この街でずっと大人しくしているというのか?それとも、既に奴らに吸収されて、操られているとか」
「あの集団は識の支配が牛耳っている。その可能性もあるだろう」
なんか、困っているようだ。悪い人達には見えないなあ。私を押さえつけたとはいえ。
それに…
「くくっ、おふたりさん、ごあんなーい!」
「な!?」
空から突然、輪っかみたいなのが降ってきた!?
そして、
「う、動けない!?」
「くそっ、陣の簒奪か!無の極致に気を取られて、接近していたことに気づかなかったということか!?」
「そゆことー。ようやく、あなた達を識の支配のところに連れていけるわー。視の永遠だけでなく、知の栄光までつかまえることができるなんて」
女の人が、話しながら近づいてくる。この人が、男の人達を動けなくさせたってこと?
なんか、男の人達の方を助けなければならないような感じだ。でも、私の能力を知られたくないし…。
よーし。
「痛っ!誰、石を投げたの!?」
私だよ!
音を立てないよう、ちょっと回り込んで、
「痛っ!痛っ!?いい加減にして!?誰なの!?」
「…!?ヤツの捕縛が緩んだ!」
「今のうちに!」
男の人達が動けるようになり、女の人に飛びかかっていく。
あともう少し、ということころで、キンッ!という音がする。
「お前は!」
「場の安寧か!」
「彼女は、もらっていく」
女の人の前にもうひとり女の人が現れ、腕をつかんで、その場から消えてしまった。
私のように姿を消したというわけではなく、本当にその場から消えてしまったようだ。
すごい、瞬間移動!?
◇
「取り逃がしたが…助かった、とも言えるか」
「なんだったんだろうな。あいつは、石が、とか言っていたが…ん?なんだこれ?」
男の人のひとり、えっと、『えたーなる』って呼ばれていたっけ、その人が、足元に落ちていたものを拾う。
「…!おい、これ、あいつの運転免許証だ!」
「やったぞ!今まで敵対勢力の誰一人、素性がわからなかったんだ!」
あ、はい。実は、あの女の人の後ろに回り込んだ時、ジーンズのポケットから私が財布を奪ったんだ。触れた瞬間に見えなくして。で、中を見たら免許証があってね。抜き去って落としたわけ。
え?なんでそんなスリみたいなことをしたかって?男の人達が最初話をしていた時も、どんな人達か知るために同じようなことをしてね。いつもやってるわけじゃないよ?
そうしたら、ふたりとも警察手帳を持ってるじゃないですか!あ、これはやっぱりこちらに味方した方がいいかなと思ったのですよ。
「あれ?マズい!俺、警察手帳落としたか!?」
「おいおい、懲戒モノだぞ…あれ、俺もない!?」
あ、しまった。ちょっと離れたところに置いておこう。
◇
翌日の学校。朝のHR前に芽衣と話す。
「昨日の停電、誰かのイタズラで起きたんだって!今朝のニュースでやってた」
「へー、そうなんだ」
「酷いイタズラもあったものだよね!あ、今日、あらためてカラオケ行かない?」
「ああ、今日も用事があるんだ。ごめんね」
しばらく街中は避けたいなあ。特に、人がまばらな平日。ずっと姿を消して街に繰り出すわけにはいかないし。
敵対勢力って言っていた方のひとりの素性が、警察に発覚したんだ。ゲームとかでなく本当に何か争っていたんだとしても、しばらくすれば解決されるだろう。きっと。たぶん。
とにかく、私のひとり暮らしは絶対にバレちゃいけない。そのためにも、この能力のことは隠し通さないと!
「えー、今日も?なんで?」
「え、えっと、スーパーで買い物しなくちゃならなくて」
「スーパー?以前もそんなこと言ってたよね?もしかして、雪音って…ひとり暮らし?」
「えっ」
ダメじゃん(´・ω・`)。
<登場人物まとめ>
◯雪音
本人は普通の女子高生のつもりらしいが、いろいろと尋常ではないのは明らか。能力以上に、性格が。
無の極致の異能力者。あらゆる物を見えなくすることができるが、実は、物理的なもの以外にもデータなどの存在も対象にできる上に、見えなくするだけでなく知覚そのものを不能にできる。しかも、他の異能力者と違って制限がない。したがって、最大にして最強。ただし、本人はそのことに気づいていない。足音だって消せるのに…。
◯知の栄光
男性刑事のひとり。たまたま発現した能力を上司に相談したら、対策本部が設置されたらしい。作者脳内ではイケメン設定。能力は、知りたいと強く念じると、あらゆる存在がどの方向にあるかわかるようになるというもの。ただし、100m以内に近づくと、あらゆる方向から存在を感じるようになってしまうという欠点がある。
◯視の永遠
同じく、男性刑事のひとり。対策本部ができて、一応関係者全員チェックしたその時に発現したという。作者脳内設定ではやっぱりイケメン。知の栄光の視覚版。つまり、千里眼。そして、同じく100m以内に近づくと視えなくなる。ちなみに、雪音の能力との相性が絶対的に悪く、無の極致の異能力者を視ようとしても存在自体が知覚できない。役立たず感満載。
◯陣の簒奪
OLをやっていたが、能力が発現して浮かれていたら、識の支配にとっつかまって洗脳されて仲間にされた。魔法陣のようなものを発生させ、あらゆる対象に様々な効果を発動させる能力をもつ。ただし、半径100mにある存在には適用できない。つまり、輪投げ状態。
◯場の安寧
20代女性。職業は不明。能力は、普通に瞬間移動。ただし、100mより短い距離には転移できない。逆に言えば、場所さえ認識すれば、地球の裏側にも転移できる。役に立つのか立たないのかよくわからない能力。
◯識の支配
実は、夜の街にひとり佇んでいた人物その人。すなわち、彼女のいう敵勢力とは警察組織のこと。預言書とやらを所有し、そこに記載されている、この街に出現するという、自身を含む10人の異能力者達を確保することで、何かをしなければならない使命を負っている…と本人は思っているが、もしかすると、単に厨二病をこじらせているだけかもしれない。ある意味、雪音の対極に位置するような人物。能力は、存在が本当に存在することを感知できることと、その感知した存在を直接知覚できた時の支配。ただし、例によって100m離れないと以下略。