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アンパンマンマーチという哲学

作者: 大雅流水

アンパンマンマーチは哲学では無いだろうか。

推理モノの文庫小説を読んでいると、突拍子も無くその考えが頭に浮かんできた。


何のために生まれ、何をして生きる?


その通りだ。この一見哲学のようにも思えるこの問題に答えるということは、我々人類、いや、この世に生きとし生けるもの全てにおける大きな課題である。いや、あら無ければならない。


なぜ『is』ではなく『have to』 もしくは『must』であるのか。


それは、我々が人生を謳歌するために最も必要なもの、自分自身の行動に一貫性を持たせるためのものであるこの課題が、実際の現実世界では答えられずじまいで息絶えることがほとんどだからである。


「小さい頃もっと勉強してればよかった。」


この言葉を大人は、まるで自分が後悔しているかのような口調で話す。

いや、実際に後悔しているのだ。

もっと勉強していれば、違う人生に巡り会えたのでは無いだろうか。

もっと真面目に過ごしていれば、もっと良い就職先で働くことが出来たのでは無いだろうか。

そんな風に、自堕落だった自分の幼少期を振り返り、もう戻ることの出来ない過去を後悔するのだ。


しかし、これはアンパンマンマーチという哲学からは程遠い。

そもそも、後悔の仕方が間違っているのだ。

後悔というのは、自分の人生において無駄だった時間、断罪されるべき時間、それらを悔い改めて、これから生きていく上でそれらを繰り返さないように肝に銘じることなのだ。

なぜ彼ら大人達は、学校というレールの上でしか後悔をすることが出来ないのだろうか。

なぜ、あくまで自分は社会の上に成り立っていると錯覚しているのだろうか。


そう、彼らは、我々は、自分が本当にやりたいことが見つけられてないのだ。


あなたは本当に、一軒家のリビングで家族と団らんすることが夢だったのか?

あなたは本当に、家督を継いで先祖代々受け継がれてきた仕事を死ぬまで全うすることが夢だったのか?

あなたは本当に、今自分のやりたいことが出来ているのか?


本当は、6畳間の小さいアパートで一人で好きなミステリー小説を延々と読み続けたかったのではなかったのか?

本当は、学校の先生になって生徒達に夢を与えたかったのではなかったのか?

本当は、今やっていることに微塵も興味を抱いていないのではないだろうか?


分からない。こんなことを考えていればきりが無い。

そう大人は反論するかもしれない。


確かにその通りだ。こんな途方も無いこと、考えているだけで一日が過ぎる。

これに比べれば、高校数学で満点を取ることなど赤子の手をひねるかのように容易いことだ。

これに比べれば、フェルマーの最終定理など、アインシュタインの相対性理論など、レベル1の知恵の輪のごとく単純明快な内容だ。

それはまるで万里の長城のように先が見えなくて、マリアナ海溝のように深くて、

全然全く一ミリも分からないような話だ。



だから人生があるのだ。

約80年、途方も無い時間の中、悩んで悩んで悩み続けた先に答えはあるのだ。

自分のやりたいこと、行きたいところ、見たいモノ。

たくさんの答えをしらみつぶしにやってみた先に、見つかるものなのだ。


何のために生まれ、何をして生きる。


答えは決まっている。


自分のやりたいことをするために生まれ、やりたいことをして生きる。

分からないまま終わる、そんなのは嫌だ。


人間いつかは死ぬのだ。何をやったって結果は変わらない。死んで全部終わりなのだ。

なら何をやったって良いじゃないか。社会など幻想だ。自分に何の関わりも無い。

極論を言ってしまえば、どれだけ異端児と馬鹿にされようと、親が離婚寸前の状態になっていようと、どれだけ日本が絶望的な経済危機に立たされようとも。

やりたいことがある限り、全部自分には関係ないし、どうでもいいことなのだ。

何もかも無視したらいいのだ。

所詮学校など大昔の寺子屋の下位互換にしか過ぎない、古びた習慣でしかないのだ。

あんな自分がしたくも無いことを強制的にさせる機関、行く奴の方がよっぽど馬鹿だ。

会社に行ったってたいした給料ももらえない、そんなことするくらいなら一人でやりたい事業を起こしてそこに熱中した方がよっぽどいい。というか、それが正解だ。


全部やめて、したいことだけすればいい。

それが、人生なのだ。






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