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誤字、脱字、不備等あれば教えて頂ければ有り難いです。
「起きて、コウちゃん朝だよ。」
もう登校の時間が近付いているというのに未だにベットの中で目を覚ましてない彼に呼びかける。
だが反応はない。
「こら、いい加減起きなさい!」
そう言って彼の被っていた毛布を剥ぎ取る。
「んん〜、ああ〜、あれここは?えっ俺の部屋だ。」
寝起きのせいか、彼、私の幼馴染である御住 公一はは変な事を言っている。
「何寝ぼけたこと言ってるの?早くしない始業式遅刻するよ。やっぱり起こしに来て正解だった。ってあれ何でコウちゃん泣いてるの⁈」
今度は力が抜けたように前屈みになり、いきなり涙を流しだした。
「いや、だってやっと帰ってこれたから…。それに優の顔見たら何だか安心しちゃって…。」
彼は昔から時々、このように私にはよく分からないことを口走ることがある。
でもその度その表情から、彼なりに何かを成し遂げた事は私にも感じられた。
だから私はこんな時は必ず返す言葉がある。
「頑張ったね。お疲れ様。」
ー
「なあ優、本当に今日は4月7日なんだよな。」
私はさっきから何回も同じ質問を返されている。
「もう〜、ちょっとしつこいよ。7日だって何回も言ってるのに。」
でも彼は納得いかないような顔だ。
「いや、だって昨日道路で轢かれそうになった子供を助けようとして、トラックに轢かれて、そこから女神様に異世界に…。あれっ?確か一年以上はあっちにいたはずなんだけどな。」
「何言ってるの?コウちゃん昨日もずっと私といたじゃない。そんな物騒な事朝からいわないでよ。」
確かに昨日もファミレスでコウちゃんの春休みの宿題を2人でしていたし、そのまま一緒に帰ったはずなんだけど。
でもそれにしては何故か彼の姿が急に少し大人びて見えてしまうのは気のせいなのかな?
「そっか、流石女神様。帳尻合わせもバッチリだな。よし、優の俺の武勇伝を聞いて驚け。実はな俺はなあっちの世界じゃ魔王を「コウちゃん危ない‼︎」
丁度交差点に差し掛かった所だった。道路側を歩いていた私の目には、得意気に私の方を見て話しかけている彼とその延長線上、わずか数メートルしか離れていない所にこちらに向け走ってくる人影が映った。
「え?」
「あ…。」
咄嗟に声を出したのだが間に合わなかった。
私の目の前で鈍い音を立て衝突し地面には二人の人物が倒れた。
「二人とも大丈夫⁈」
片方はちょっとツンツン頭の黒髪、パッチリ二重、で身長も私よりも頭一つ分大きい、一般的に言えばイケメンの部類に入る、私の幼馴染。
そしてもう一人は、
「いたたたたた…。ったくあんた何処見て歩いてんのよ!本っ当信じらんない!」
腰の辺りまであるゆるふわウェーブの金髪、透き通るような碧眼。外人とはまた違う感じの整ったような顔立ち。とてつもない美人…。
「お前こそ何処見て歩いてんだよ!気をつけろ、ほら。」
先に立ち上がったのはコウちゃんのほうだった。
そして上半身だけ起こしている彼女に手を差し伸ばした。が、
「あぁ!こんなことしてる場合ないんだった!遅刻しちゃう!」
そうに口にした途端飛び起きて物凄い速さで走って行ってしまった。
伸ばした手は誰にも握られず宙に浮いている。
「コウちゃん…。遅刻しちゃうよ。早く行こ。」
軽く促すと彼は「おう…。」と小さい声で返し、少し恥ずかしそうな顔で私の後をついてきた。