僕は東海道新幹線
鉄道擬人化作品です。苦手な方はご注意ください。
東海道から山陽に想いを寄せる、同性恋愛物です。
僕は新大阪から東京までを繋ぐ鉄道。
東海道新幹線。
名前の響きはかっこいいだろうね? うん、名前の響きだけは。
でも僕には山陽のようなリーダーシップはない。お金だけは鉄道の中で一番稼ぐけども。
今日の班会議でも、山陽にいじめられるんだろうな……。
「―――と言うわけで……おい、東海道、聞いてんのかよ!?」
山陽から鉄拳が飛んできた。それは僕の頭に見事にヒット。
痛い、痛すぎる……。山陽は絶対に手加減をしない。分かってるよ、ぼんやりしてる僕が悪いことは。
でもさ、仕方ないじゃないか。ここ最近、雪やら何やらのトラブルで徹夜続きだし。
そんなことを思っていると、山陽の気が余計に立ったのか更に僕は殴られた。
「止めて、痛いよ! 山陽…っ、駄目だって! のぞみたちも居るのに!」
「のぞみどもは関係ねぇよ。話を聞かないお前が悪いんだろうが!!」
バキッと左胸に蹴りが入る。僕は思わず咳き込んでその場に倒れ込んだ。
他の路線たちは何も出来ないようで、黙って僕たちを見ている。待って、本当に助けてくれないの?
山陽は怒ると手が付けられないから、怪我したくないって気持ちも分かるけどさ。
殴られて傷だらけになっている僕の気持ちも考えてよ…!
「―――みんなの馬鹿っ! もう知らない!」
僕は山陽を突き飛ばしてそのまま部屋を出て行った。
―――山陽は絶対に追いかけてはくれない。それが分かっているから辛かった。
僕は山陽が好きなのに……山陽は僕のことが嫌いなんだ。
ねえ、山陽。
最初に会ったときのことを覚えてる? あのときから君が僕の主人であり、師匠なんだよ。
ただお客を運ぶだけだった僕に、いろんなことを教えてくれたのは君だった。
だから……だから…。
僕は君を好きでいるし、尊敬もしているんだ。君にはきっとこの思いは届かないだろうけど。
「山陽……ずっと大好きだよ」
季節は桜散りゆく春。桜の花びらが一枚、その場に散って落ちた。
僕は山陽との関係を暗示しているような花びらを見て、言葉を紡ぐことは出来なかった……。
読んで頂きありがとうございます。
私の書く鉄道擬人化は、だいたいこのようなイメージでございます。
苦手な方はご注意くださいませ。