表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
You Love Me!!  作者: 蒼威月
8/8

Eighth……Tota end



大変長らくお待たせしました

透太さんエンドです



楽しんでいただけると嬉しいです




「ファッション雑誌?」




透太さんがすっとんきょうな声を上げた。他の皆さんもはてな顔だ

「はい。Mr.ってメンズ雑誌で今話題の人達を取り上げるコーナーがありまして。それの取材をとのことで依頼が来まして……それで」

「え、モデル的な?」

「ええと、はい、モデルとインタビューとなってます」

「ふーん…」

「楽しそう」

透太さんと大輝さんはノリノリのようだけど葵さんは苦い顔。凉平さんはよく分からない顔をしている

「一般のあまり音楽に興味ない人にも知ってもらえるいい機会だからな!!バシッと決めて来いよ!!」

岳さんが大口を開けて笑った




そして当日

「「「「お〜…」」」」

スタジオに足を踏み入れたと同時に4人が一斉に声を上げた。モデルなんて初めての体験だから物珍しいのだろう。それに音楽雑誌の取材とはまた雰囲気が違う

「あ、こんにちは!!今日はよろしくお願いします!!」

準備をしていたスタッフらしき男性が小走りに駆け寄ってきた

「「「「よろしくお願いしまーす」」」」

「マネージャーさんですか?」

「あ、いえ、本日はマネージャーの方が別件で来られないということで、サブマネージャーの私が同行することになりました。本日はよろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いいたします。申し遅れました、本日この場を担当させていただきます、大橋です」

彼は全員に名刺を差し出すと、腕時計をちらりと見て

「それでは控え室にご案内しますね。こちらへどうぞ」




「ではメイクしますね」

「お願いしまーす」

ヘアメイク担当の女の人は透太さんの前にまわると、メイクを始めた

(…なんか…モヤッとする…)

彼女の指が透太さんの顔や髪に触れる度にモヤッとして、そのモヤモヤがどんどん増していく。喋りながらメイクをする2人が楽しそうに笑うと更にモヤッとする

(やだ…私なんで…)




数十分後、メイクを終えて透太さんが戻ってきた

「うーちゃん!!」

「…お疲れ様でした」

ついぶっきらぼうな返事をしてしまった

「?うーちゃん?」

「何ですか?」

「なんか不機嫌?」

「そんなことないですよ」

「嘘、絶対機嫌悪い」

透太さんが腰を屈めて私の顔を覗き込んだ。私の目の前に彼の顔が来て、少し上目気味に見つめられる。ドキドキして少し目を逸らすと透太さんは少し悪戯めいた笑みを浮かべた

「もしかして…」

「…何ですか」

透太さんが少し笑いながら口を開いた

「妬いてくれてたりした?」

「なっ…ち、ちがっ…」

図星を指されて自分の顔が一気に赤くなるのを感じた。きっと今私は耳まで真っ赤だろう

すると透太さんがぱっと口を抑えてそっぽを向いた

「と、透太さん?」

「あー……」

「?」

「冗談半分だったんだけど…妬いてくれて…嬉しい」

「っ…」

またカアッと顔が熱くなる

「だ、だから…妬いてなんか…」

ない、と言い切れないのは本当は妬いていたから。その事実に更に顔の熱が上昇する

「そーいうことにしといてあげる」

そう言って透太さんは私の頭を撫でると、機嫌良さげに私が立っている隣の椅子に座った

(早く終わって…!!)

他の3人のメイクが終わるまで透太さんはずっと隣に座っていて、私はドキドキしっぱなしだった




「そう…で目線こっち下さい」

パシャッ

「うん、次は…」

メイクを終えた4人は撮影に入っていた。カメラのフラッシュが焚かれる度にスタジオ内が白く照らされる

「じゃ次ソロショットお願いします」

最初は凉平さん。ドラムでしっかりついた筋肉と整った顔立ちのおかげで何をやらせてもサマになる。襟ぐりが広めのロンTのせいか、色っぽい印象だ。この人は物事を客観的に見るのが得意だから自分の魅せ方を心得ていて、ポーズをとるのが上手い

「上手いね。じゃあ次お願いします」

次は大輝さん。少し緊張気味のようだけど普段と違う雰囲気のこの仕事を楽しんでいるようで、大輝さんの魅力である明るい笑顔がよく出てる。大輝さん1人だけ七分丈のパンツだからその笑顔が少年じみて可愛い

次に葵さん。背が高いから何を着ても映えるのだけれど、取材や撮影が苦手なので思いっきり眉間にしわが寄っている。カメラにガン飛ばしているようにしか見えないし、一歩間違えればヤンキーに見えかねない。けれど逆にそれがいいとカメラマンさんは上機嫌だった




最後に透太さん。透太さんは透太さんでモデル気分を楽しんでいるようで、次々とポーズをとっていく。かぶっていたハットで顔を半分隠してみたり、ハットを指で回してみたり。クールな表情を見せたり、はたまた無邪気に笑ってみたり

「OK、目線こっち頂戴」

カメラマンさんの声に応えて透太さんがこちらを向いた

その時

「っ…」

今、間違いなく透太さんは私を見た

その瞳がしっかり温度を持った感情を宿していて。真っ直ぐに向けられたその感情にぞくり、と身体が疼いた

パシャッ

その瞬間シャッターが切られた

「今の表情いいね。はいOK」

「ありがとうございました!!」

透太さんはカメラマンさんに頭を下げると、そのまま私の方へ歩いてきた

(ドキドキして透太さんが見れない…)

「お、お疲れ様でした」

目を逸らしながらそう言うと、透太さんはニヤリ、と笑って私の耳元に顔を寄せると

「ドキドキした?」

悪戯にそう囁いた

耳元をくすぐった吐息にびくりと身体が揺れた

「し、してなんか…」

自分の顔がみるみるうちに赤くなっていくのが分かった

私の顔を見て優しく笑った透太さんの顔を見て思う

もう自分を誤魔化せない

私は透太さんが好きだ

…でも…




撮影を終えて事務所に戻る

私は自分のデスクで書類仕事をしていた

するとドアが開いた。目をやると、葵さん、大輝さん、凉平さんの3人が覗いていた

「?皆さんどうしたんですか?」

「うん。俺ら帰るね」

「あ、はい。今日はお疲れ様でした」

「お疲れー」

ひらひらと手が振られて3人は帰っていった。3人の背中を見送って、再び書類に目を戻す。するとまたドアが開いた

「あれ?葵さん?」

入ってきたのは葵さんだった

「さっき帰ったんじゃ…?」

「ああ、ちょっと」

葵さんは私に歩み寄ると、近くの椅子を引いて背もたれに腕を預けるようにして逆向きに座った

「?」

「うーちゃんってさ」

「はい?」

「分かりやすいよね」

「え?」

葵さんの切れ長の瞳が私を見つめる

「うーちゃん、透太が好きだろ?」

「ッ!?」

カアッと顔が熱くなる

「な、なんで…」

「見てりゃ分かるよ」

好きなんだから、と続けて呟かれた言葉に改めて思ってしまう。私が透太さんを選んだら葵さんを、大輝さんを、凉平さんを、傷つけてしまうのだと

「言ってやんなよ、透太に」

「で、でも…そしたら…皆さんを…」

傷つけてしまう

その言葉は口に出せなかった

葵さんはふぅ、と小さく息をつくとこう言った

「恋愛経験の少ない俺が言っても説得力ないだろうけどさ、恋愛なんて誰かの恋が実ればどこかで誰かが傷ついてるもんなんだよ。…少なくとも俺はそう思う」

俯く私に葵さんは更に言葉を紡ぐ

「俺達が望むのはうーちゃんが幸せでいることだよ。俺らを傷つけると思うんなら、自分自身の恋を叶えて幸せになってよ。…それが俺らの望みだよ」

葵さんは「ね?」と微笑むと、立ち上がって私の手を引いて立たせた。そして私の肩を掴んでドアの方へ向かせた

「ほら、行っといで」

その言葉と共に背中を軽く押される

「葵さん…」

そっと振り返ると、葵さんは泣きそうな、嬉しそうな、どっちともつかない顔で笑っていた

「…ありがとうございます」

私は深く頭を下げると、その部屋を飛び出した




「あー…」

彼女が出ていった後、俺はそのままその場に座り込んだ

「行っちまったな…」

そう呟くと同時に冷たい雫が頬を滑った

……本当に好きだった

他の誰にも譲りたくないほどに

他の何を失っても構わないほどに

……彼女に言ったことは嘘じゃない

けど今は

今だけは




そうっと透太さんがいるはずの部屋のドアをノックする

返事がない

不思議に思ってそっと部屋に入る

「透太さん?」

小さく呼び掛けると、返事の代わりに小さな寝息が返ってきた

そっとソファーを覗き込むと、透太さんはソファーに横たわって寝ていた。張っていた気が抜けて、そっと前にまわり、ソファーの前に膝をついた。そして透太さんの顔を眺める

薄く口が開いていて、そこから小さく寝息が聞こえる

(…まつげ長いなぁ…)

穏やかな寝息だけが響く静かな空間に、徐々に心が落ち着いていく

「…透太さん」

聞こえていないことを願って言葉を紡いだ

「私、ほんとはいつだって透太さんにドキドキさせられてるんですよ?…今日だってずっとドキドキしてた」

本人には言えない

私の本音

「私、私が皆さんのうちの誰かを選んだら他の3人を傷つけると思ってたんです。それが怖かった。そのせいで今が壊れるのが恐ろしかったんです。でも…きっと何より自分が傷つくのが怖かった。……私バカですよね。傷つくのが怖いくせに人を傷つけてばっかで」

少し自嘲気味に微笑む

「…でももう自分ばかり守るのはやめます。私が自分の気持ちを閉じ込めてるのは皆さんにすごく失礼なことだって、葵さんが気づかせてくれたんです」

だから、と繋ぐ

「私の……本当の気持ち。…私は透太さんが好きです」




言った途端恥ずかしさが込み上げた。火照った頬を冷まそうと手で扇いでいると、ゆっくり目を開けた透太さんと目が合った

「あ…」

「…うーちゃん」

透太さんは勢いよく起き上がると、その勢いのまま私を抱き締めた

「と、透太さん!?」

慌てる私を抑え込むように透太さんは腕の力を強めた

「今の…ほんと?」

「へ?」

今の………って!!

「と、透太さん聞いてたんですか!?」

「うん」

「い、いつから!!」

「うーちゃんが話し始めるちょっと前」

…全部聞かれてた

恥ずかしすぎて今なら死ねる

恥ずかしくて恥ずかしくて茹でダコ状態であろう私の耳元で透太さんは囁いた

「…否定しないと、俺、本気にとっちゃうよ?」




もうヤケだ

「本気の本気ですよ!!わ、私は!!透太さんが好きなんです!!」

叫ぶように告げた途端、私を抱き締めていた腕の力が強まった。きゅうきゅうと締め付けられてぐぇ、と変な声が出た

「と、透太さん?」

「…ッは……嬉し…」

「ッ…」

耳元で聞こえた吐息混じりの声に心臓が跳ねる

「…好き、大好き」

ぽつり、と呟かれた言葉に嬉しさが込み上げた

そっと遠慮がちに透太さんの背中に手をまわして、身体を彼に預ける

「…ねぇ」

「はい?」

「ちゅー…してい?」

びっくりしたけど、小さくコクリ、と頷いた

そっと腕が緩められて、私と同じくらい真っ赤な顔の透太さんが私を見つめる。その瞳に映る確かな温度を持った感情に嬉しくなる

ゆっくり目を閉じると、唇に優しい温もりが触れた




(…2回目だなぁ…)

ふとそんなことを思った

これで透太さんとキスするのは2回目。付き合う前に1回目しちゃうって…と少し可笑しくなる。…したのは2回とも向こうから

だから

「え」

離れた時に今度は私からしてやった。顔を離して、したり顔を向けると、透太さんはポカン、とした顔をしていて、その頬がみるみるうちに赤く染まった

「…かわい」

思わず笑いと言葉がこぼれた。透太さんは少しむっとした顔をするとプイ、と顔を背けてしまった

怒ったかな、と思って少し不安になる。けど髪の隙間から見える耳は真っ赤で照れ隠しなのがバレバレだ

(…やっぱりかわいい)

そう胸の内で呟いてクスリと笑みをこぼすと、ジト目の透太さんがこっちを向いた。そしてあっという間もなく腰に手がまわされて身体を引き寄せられ、唇と唇が合わさった




唇を合わせる度に実感と愛しさが込み上げる

私の想いが通じたんだ、と実感して

透太さんがただただ愛しくて

離さないで下さい、と胸の内でお願いした




楽しんでいただけたでしょうか?



このシリーズはこれで完結です

読んで下さった方々

ありがとうございました




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ