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You Love Me!!  作者: 蒼威月
7/8

Seventh……Aoi end



お待たせしました

葵さんエンドです


楽しんでいただけると嬉しいです!!




「葵さんっ」




後ろから聞こえた声に振り返ると、思った通りの人物が小走りに駆け寄って来た

「葵さん、次葵さんの番ですよ」

彼女はそう言うと、優しい微笑を浮かべた

「ああ、分かった」

俺はそう言って愛用のギター片手にスタジオに足を向けた




俺の名前は葵

バンドではギター担当

アルバムを出して、ツアーもやって、一段落ついて。今日は次に出すシングルのレコーディング

俺はスタジオに入ると、愛用のギターを構えた




ギターパートを録り終えて。俺は1人休憩室でぼんやりしていた

するとそこへぱたぱた、と軽い足音が近づいてきた。顔をあげるとうーちゃんだった

うーちゃんは俺に気づくと、小さく口元を綻ばせて近づいてきた。思わず目を逸らす

俺は彼女が好きだ。前のレコーディングの時に告白もした

だからこそ意識してしまって、顔をまともに見ることがなかなかできない。自分が不器用なのは自覚しているつもりだが我ながら情けない

「葵さんも休憩ですか?」

「あ…ああ、まあな…」

そうやって屈託のない笑顔を向けられると余計に意識してしまって。素っ気ない返答しかできない

「うーちゃーん」

すると、廊下の向こうから見慣れた茶色の頭がやって来た。透太だ。透太はいつものように彼女に抱きつくと、彼女の髪に顔を埋めた

…抱きつくなよ

少しだけ…いや全く少しじゃないが。嫉妬心が顔を出した

嫉妬なんかしている自分が情けなくて、この光景を見たくなくて

「俺行くな」

素っ気なくそう言ってその場を去った




今回のレコーディングも泊まり込みだから各自に部屋が与えられている。俺は自分に割り当てられた部屋に入ると、ベッドに大の字に寝そべった

「あー…」

自然と溜め息が出る。好きだから他の3人に負けたくない。けど好きだから意識してしまってぎこちない態度や素っ気ない返事しかできない。情けない

俺は他の3人より喋るのが下手くそだし、面白いことも言えない。彼女を笑顔にできない。取り柄といったら背が高いこととギターぐらいで。透太のように明るくもないし、大輝のように面白いわけでもないし、凉平のように女の子の好きなものを知っているわけでもない

悶々と考えているとどんどん自信がなくなってきた

…考えるのはやめよう

どんなに他の3人に劣っていても彼女を諦めることはできないし、頑張るしかない

そう考えてそっと目を閉じた




肩を軽く揺すられて目が覚めた。うすらと目を開けると、うーちゃんだった

彼女は俺が起きているのに気づかず、肩を揺すりながら俺の名前を呼んでいる。うすらと開けていた目をしっかり開けると、うーちゃんは揺するのをやめ、小さく微笑みを浮かべた

「葵さん、あと30分ぐらいで夕飯ですからそろそろ起きてください」

「…ああ」

ゆっくり身を起こして目を戻すと、うーちゃんが俺をじっと見つめていた。思わず心臓が跳ねて、微かに頬が熱くなったのが分かった

「…どうかしたか?」

訊ねると、彼女は口元に手をあて、しばらく考え込んでいたがやがて口を開いた

「あ、あの…」

「?」

「あ、葵さんは…もう…私のこと…好きじゃない…ですか…?」

一瞬キョトンとすると、彼女は何を勘違いしたのか

「そっそうですよね…もう好きじゃないですよね…ごめんなさい…」

そう言って踵を返そうとしたので、慌てて彼女の腕を掴んで引き留めた

「ちょっと待て。なんでそう思ったんだ?」

そう聞くと、彼女はこっちを見ないまま蚊の鳴くような小さな声で答えた

「だって…最近葵さん素っ気ないから…嫌われちゃったのかな…って…」

微かに声が震えている

思わず掴んでいた腕を引っ張ると、彼女は俺の胸に飛び込む格好になる

「きゃっ…あ、葵さん!?」

慌てて離れようとする彼女をぎゅうっと抱き締める。先程透太がしたように彼女の髪に顔を埋めると、ふわり、といい香りが鼻をくすぐった




しばらくそのままでいると、そろそろ、とうーちゃんの手が俺の背中にまわった

「あ、あの…」

「ん?」

「わ、笑わないで聞いてくださいね…」

彼女は小さく俯くと、ぽつりぽつりと吐き出すように話し始めた

「わ、私…最近ずっと不安だったんです…。葵さん最近素っ気ないから……嫌われちゃったのかなって…」

俺の背中にまわされていた彼女の手がぎゅうっ、と俺の服を握りしめた

「私…葵さんに嫌われちゃったのかな…って思ったら…すごくすごく悲しくて…。嫌われたくないって思って…」

小刻みに震えている体と小さく目元を拭う仕草で、彼女が泣いているのに気がついた。思わず彼女の体にまわした腕に力を込める

「私…」




「…葵さんが好きです…」

一瞬自分の耳を疑った。夢かと思った。けど自分の腕の中にある彼女の温もりは間違いなく本物で。現実で

「…本当に?」

確かめずにはいられなくて

「ほんとです…。…私は葵さんが好きです」




顔を見て答えたい

そう思って腕を緩めると、少し顔を上げた彼女と目が合った。一気に頬が熱くなったのが分かった。距離が近くて目を逸らしそうになるのをこらえて、口を開く

「…俺の気持ちは変わってない。…好きだ」

驚いたように目を開く彼女の瞳からぽろり、と雫が一筋こぼれ落ちた

その雫を見た瞬間、自分の顔にどんどん熱が集まってくるのが分かって、どうしようもなく恥ずかしくなって、彼女を思いきり抱き寄せた

「えっ…あ、あの、葵さ…」

腕の中で慌てる彼女を強く強く抱き締める

「あ、葵さん…?」

顔が熱い。きっと赤い。恥ずかしい。けど嬉しい

いろんな気持ちがごちゃ混ぜになって

ただただ彼女を抱き締めていた




ガチャリ…

その時ドアが開いた

慌ててドアに顔を向けると、ドアから透太、大輝、凉平の3人が顔を出していた

「きゃっ…み、みなさん…」

慌てたようにうーちゃんが顔を真っ赤に染めた。俺の顔も一気に火照った

「あーー!!葵てめーうーちゃんに何してんだよー!!」

真っ先に透太が騒ぎだした

「いやっ…あのっ…そのっ…」

うーちゃんが顔を真っ赤に染めて俺から離れようとしたので、その腕を掴んで引き戻した

「えっあっ葵さん!?」

ぽすっと音を立ててベッドに逆戻りした彼女を後ろからぎゅうっと抱き締める

「葵ーーーーー!!!!」

透太と大輝が騒ぐので、彼女を更に強く抱き締め、その頬にキスを落とした

「…へ」

うーちゃんの間の抜けた声と同時に、ビデオを一時停止したみたいに透太と大輝が目を見開いた状態で固まった

自分の頬が熱くなっているのを感じながら、彼女を抱き締める腕に力を込めてその場にいる全員に向けて口を開いた

「俺の」

すぐ横にある彼女の頬がみるみる内に真っ赤になって、3人の口があんぐり開いた。自分の頬もみるみる内に熱くなっていくのが分かった




「自分で言っといて照れんなよ葵…」

呆れ気味に凉平が口を開いた

「うるせーよ…」

ふい、とそっぽを向くと、うーちゃんがそろそろと後ろを向いて俺を見上げた。思わず彼女を見ると、ばちっと目が合って頬に熱が集中する

「うわ葵真っ赤」

からかうように透太が笑うと、大輝もにやにや笑いを浮かべた

「うるせーってば…」

抱き締めている彼女の肩に額をあてて顔を隠す




「うー…うーちゃんなんで葵なのー…?」

「え?」

透太がぶすーっと唇を尖らせて彼女を見た

「あ、それは俺も興味あるな」

凉平もにやにや笑いながら手を上げた

彼女は一瞬きょとんとした後、小さく笑った

「なんでって言われましても…」

「だーってこんな無愛想なやつだよー?」

透太が恨めしげに俺を見た

「なんだ、やるか?」

じろりと見返してやると透太はぶーっと膨れた

「んー…強いて言えば…」

彼女の言葉に顔を戻すと、彼女は満面の笑みを浮かべた

「全部…ですかね」

ぼっと顔が熱くなった。彼女の頬も微かに赤い




「葵…」

「あ?」

透太に呼ばれて顔を上げると、透太は親指を立ててマンガだったら星がついてそうな笑顔を浮かべていた。絵文字なら(o^-')b ←こんな感じ

「よかったな!!初彼女だ!!」

ムカついたので

「なあその指折っていいか?」

俺がその指を握る前に凉平がその指を握った

「痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ!!凉平痛てぇ!!」

かなり握力をくわえているようで、透太が涙目になって身をよじっている

「あの…」

彼女に服の裾をつままれて彼女を見ると、彼女は真っ赤な顔で俺を見ていた

「わ、私が…初彼女…なんですか…?」

「う…ま、まあ…な…」

「葵はなー…まあ性格上の問題もあるけど、女の子苦手なんだよ」

「凉平!!」

凉平が透太の指を握ったまま爽やかな笑顔を浮かべる

「そうだったんですか?」

驚いたように俺を見る彼女に小さく頷く

「出待ちで囲まれるたんびに逃げてるだろ」

凉平にそう言われ、納得したように彼女は頷くと、俯いたまま口を開いた

「わ、私も…葵さんが初彼氏なので…う、嬉しい…です」

「ね?初めて同士お似合いだよ」

知っていたのか凉平は驚く俺にそう言ってにっこり笑った




「それはいいからいい加減離せって!!」

涙目の透太が叫んだので凉平がぱっと手を離すと、透太の親指は血が止まっていたらしく青くなっていた

階下から岳さんの声が聞こえたので、涙目のまま自分の指を見つめている透太を無視して、凉平はご飯行こう、と言って大輝とうーちゃんの手を引いた

大輝にげしっと蹴られてなんだよ、と返すと

「泣かしたら許さねーかんな」

そう言われた。当たり前だと頷くと、大輝は淡い笑みを浮かべて先を歩く凉平と透太を追いかけていった。俺の隣にうーちゃんが残った

彼女を見下ろすと、彼女は俺を見上げてふにゃっとした笑みを浮かべた

ふと彼女が俺のものになったんだと実感して、俺より遥かに小柄な彼女の額にキスを落とした。驚く彼女に小さく笑いかけて、ちらりと前の3人をうかがってから、そっと彼女の唇にキスをした




初めて同士苦労するだろう

喧嘩もするだろう

でも俺はずっと彼女と一緒にいたい




そんな想いを抱きながら、赤いままの彼女の手を引いて3人を追いかけた




楽しんでいただけたでしょうか?



葵さんは気に入っているキャラなのでちょっと気合い入りました(笑)


次は透太さんです

次も頑張りますのでよろしくお願いします!!

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