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特別番外編:新婚旅行は危険な香り:12

 ワニと一騒動起こし、自慢のサラサラロングヘアーを無くしションボリとした夫。

 男の人の長髪って、海外じゃ珍しくないけど…日本、さらに田舎だとねぇ…

 ンチャックは異国の人だからってことで、お咎めはないけど。

 それでも封鎖的な田舎ではあまり目立ちたくない!

 髪をずたずたに切られたのはかわいそうだけど、サッパリ短髪にしてもらおう。ふふふ…。

 

 ---ワニがあんなにアグレッシブな生き物とは知りませんでした---

 

「ナビさんのせいじゃないよ、ガイドさんは何回も注意してたし」

 

「…」

 完全にいじけて、長い足で器用にワニの絵を描いてる。ムダに上手い。

 

「次はどこにいくの? それに残りの日にちも気になるし…」

 

 ---幽霊ホテルで時間かかってしまい、あと二日ですね。宿泊は今日で終わります。最終日はお土産などを買った方がよいでしょう---

 

「え! もうあと二日しかないの?」

 

 それを聞いたイケメン夫、地面のワニの絵がどんどん増えてすごいことになってる!

 あちゃー、無言でショックを受けてる…。

 

 ---次の行き先なんですが、本当によろしいんですか?ヨハネスブルクで---

 

「ヨハネスブルク?って南アフリカの…」

「僕はハイエナを見たいんだ、野生じゃなくて一般市民に飼われてるところ」

 

 ---この世界で一番危険な町と言われてますし、無事で帰れるのは奇跡に近いかと---

 

「そんなに危ないの?!」

 

 ---いままでいろんな世界を見てきましたが、ここまで悲惨な国は初めてです。五体満足で帰れる保障はありません---

 

「うわぁ…」

 

 ナビさんによれば、南アフリカに対しては危険喚起が出されているらしい。要は行ってもいいけど、何があっても知らないよーというくらい危ないと。

 ヨハネスブルグは特に、ダウンタウンやヒルブロウ地区については「可能な限り公共輸送機関の利用は避け、同地区には立ち入らないように」という勧告も出されている。

 えー、公共交通機関も使えない街って…どれだけ危険なんだろう?

 かといって車でも安心できないらしく…。

 赤信号できちんと停車した日本人ドライバーがガラスを割られて、助手席の荷物を盗られるという事件も発生。自動車に乗っていても信号で止まるのは自殺行為ってことか…。

 きっちり信号で止まるのは、観光客です!お金持ってます!と宣伝しているようなものみたい。

 また、乗用車の故障のため高速道路の脇に車を停めて車外に出たドライバーが、尾行してきたギャングに殺されたりする事件が発生したり…怖い、怖すぎる!!

 さらに、非黒人が夜間に駅やバスターミナル周辺を歩くことは、自殺行為だって。

 

 …なんてバイオレンスな町なのよ…。なんでこんなところに行きたいの?!

 

 そもそも…鉄道やバスといった公共交通機関は、黒人の低所得層が利用するらしい。

 空港・商店・ホテルなどの建物内から移動するときは、安全のため車を使用すべきとのこと。

 それでも完全に安全とは言えない…。だれも信じられないってことか。

 夜間は車であっても極力外出しないこと。危険な地区では停車しないように警告が出されている。

 うん、夜間の外出は危険っていうのは分かる。日本がいかに安全か、身にしみて実感。

 

「うう、聞くだけでも死亡フラグが大連立しそうだよね!」

「…ハイエナを飼い慣らす彼らを間近で見てみたいんだ、僕は」

「ダメ、そんな危ない野生動物を飼い慣らしてる時点で、その地域が物騒って証じゃない」

 

 だって…スラムだよね、どう考えても。ナビさんから話を聞いていて思い出した。

 ヨハネスブルクといえば、外務省の渡航してはいけないワーストランキング入りしてるところ。

 日本人はそれでなくても、自国が安全だからか危機意識に乏しく、とにかく被害に遭いやすい。

 なんとしても行きたくないというか死にたくない!

 

「むむ、じゃあ、どうしたら安全に見にいけるんだい?」

「そんなの、屈強なボディーガードに守ってもらうしか…」

 

 ---あ、その方法もダメです。大人数なら大丈夫だろうと屈強な男性8人で行動していたら、武器を持ったギャング30人近くに暴行・金品を強奪され、殺害された人もいたそうです---

 

「うわあああ、なにそれ! 信じられない、絶対行きたくない!」

「じゃあ、どうすればペットになってるハイエナを見れるんだい?」

 

 これだけ怖い話を聞いて、まだ諦めてなかったの?

 

 ---無理です。軍人上がりの男性でも腕に自信があっても、ヨハネスブルクのスラムに行けば生きて帰れません---

 

「ね、ハイエナならさ、サバンナとかに行けば見られるよ。なんでわざわざ危険なスラムで飼われてるハイエナを見たいの?」

「…ハイエナを飼うなんて、カッコイイと思ったんだ。だから自分の目で見たかった。でもそんな危険なら、諦めるよ…杏子さんが危ない目に遭うのは望んでないから」

 

 ---ちなみに、杏子様がそのスラムに行ったらどうなるかといいますと…すぐに拉致され荷物を奪われ、暴行され裸で路上に捨てられます。この時点で奇跡的に生きていても、助けは誰も来ません。警察官も偽物が横行してますから、助けに来た警察官が本物という保障はありません。それでもハイエナを見に行かれますか?---

 

 

「「…」」

 

 絶句してしまった。なんというか、旅した異世界よりはるかに危ないよ、ヨハネスブルク…。

 同じく真っ青になってしまった彼。

 まさかそんなに危ないところとは思ってなかったよね。

 物騒になったとはいえ、世界に比べたら日本が平和すぎる。

 

「わかった。ハイエナ見学は諦めるよ…」

 

 ---では次の候補地の場所にしましょう。こちらなら親日国で、比較的安全ですから---

 

 そういって、次の場所も告げられず、移動することになってしまった。

 だ、大丈夫かな…いきなり撃たれたりしないよね?

 移動した先は世界遺産登録されたとても有名なところだった。

 たしかに安全だよね、そもそも人がいない。

 

 世界遺産に登録されているカッパドキアに来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 


※ヨハネスブルグ、洒落にならないくらい危険な国でした。調べていたらぞっとする話ばかり。さすがにここに行くのは、危ないので中止しました。


※次はトルコあたりをウロウロ。少し短いですが、いったん切ります。

切るといえば、ンチャックの頭はすごいザンバラヘアになってます。

いっそ坊主に…。


※更新が遅れ気味ですが、気長にお待ちください。



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