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異世界チケット使用3枚目。その3

二人仲良く後頭部に ハゲできました。おそろ~


この魔法の世界はこの話で終わります。


魔法の使用はほどほどに。


 翌日、ふたりして後頭部に小さなハゲを作ったことに笑いあい、やはり魔法は使わない方がよさそうだと意見が一致した。隠せる程度でよかった。

 宿で、朝食を頂き夕方まで町のまわりを散策しようと町を離れた。

そして誰もいないのを確認して、ピーちゃんの背中に乗って散策に出発した。


 今度はゆっくりね!


 町の周囲を旋回してわかったのは、この辺りで人が住んでいるのはあの町だけだということ。

あとはぽつりぽつりと小さな集落があるだけだ。ひたすら草原だけが広がっていた。


 田舎とかそういうレベルでなく、この世界自体人口が極端に少ないみたい。

だから魔法に頼るしかなかったのかもしれない、髪を犠牲にしても。

それならカツラがあればいいのに…と薄い髪の人達を不憫に強く思ったのがいけなかったのか


 チカッ、と魔法が発動して空を旋回していた私たちのさらに上から、大量のカツラが降ってきた!怖い、怖すぎる。


 町から離れたところでよかった。そして私の髪の毛は、抜けずになぜか色が薄くなりました。

黒髪から茶髪に。次は白髪?でも抜けなくてよかった…

 慌てて下に降りて、カツラを回収。イケメンさんと話し合い、今日の祭りを見たらこの世界から移動するし、これを全部町の人に寄付しよう、と。


「仕方ない、これを入れられる大きな袋!」

 イケメンさんが魔法を使った。あ、後頭部の抜け毛が広がった!

10円サイズが500円サイズに…ごめんなさい。


 地面に落ちたカツラをきれいにして、袋に入れたりしていたらあっという間に夕方になってしまった。

急いでピーちゃんに飛び乗り、町に戻る。よかった、間に合ったみたい。

 宿にはもう泊まらないので、支払いを済ませて広場に向かう。

イケメンさんはサンタさんのように大きな袋を肩に抱えているので、目立つこと目立つこと。

そして、私に広場の隅にいるように告げて大会本部にカツラを持っていってしまった。


『さあ、本日は<生活に便利な魔法コンテスト>最終日となります。本日は参加者がいないかと思われましたが、<旅行者>(ツーリスト)の方が急きょ参加されます。これはすごい発明です!ではどうぞ!』


 どよどよと広場が騒がしくなる。

ひょいっとイケメンさんが舞台に上がり、そいやっと袋の中身をぶちまいた。


「このカツラがあれば、抜け毛も薄毛も気にしなくていい! 好きに使ってくれたまえ!」


 大量のカツラが広場に飛び交う。

広場のほとんどの人が、きょとんとしたが一斉にカツラの意味を理解し舞台に殺到した。

さながらバーゲンセール会場だ。やっぱりみんな薄毛を気にしてたんだ…特に女の人が興奮マックスだわ!


「ほら、いくぞ、走って!!」


 いつのまにか私の隣にきていたイケメンさんが私の手を取り、町の外に向かって走り始めた。

広場に殺到する人ごみを避けながら、町の外へひたすら走る。

「だれか、彼を捕まえてくれ! 次の統治者に…!!」

 とても眩しい頭の方が何やら叫んでいるようだった。

しかし、カツラに群がる群衆に阻まれて動けないようだ。


「ナビさん、移動準備を頼む。移動ポイントは町の外へ出てすぐだ。次の世界の条件は、体がすごく大きいのが普通で、男女平等に存在する世界。体重制限はしない。治安はそれなりでいい。彼女は僕が守るから。急いで検索頼む!」


----かしこまりました。検索します…、条件に当てはまる世界を発見、急いで繋ぎます----


 町の外に向かって走る私たちを何人か追ってきた。


「待ってください! ぜひ、町の統治者に! こんなに大量に魔法が使えるなんて他にいない。」

「カツラをもっと!」

「ついでにカツラ以外も!」


 なんかずうずしい願いもあるけど、魔法使うたびに髪の毛が減る世界なんてまっぴらよ!


「ごめんなさーい、お断りしまーす!!」

 走りながら答える。

追いかけっこは町の外まで続く。し、しんどい…


 そして、こんにゃくのなりそこないのようなぐにゃぐにゃした移動ゲートを見つけ二人で飛び込んだ。

なんで、最後はこうなるの?!ゼリーに包まれながら、イケメンさんが選んだ世界がまともでありますように…と祈るばかりだった。



魔法は使えるけど、代償も大きい世界でした。

この後、「カツラ」が流行し、髪の毛を気にせず魔法を使えることになりこの町は大きく発展します。杏子の見本があるので、次のカツラはその世界に適したモノになるでしょう。杏子が出したカツラはかなりファンタジックでした(笑)

チャイナ服、統治者の好みなだけでした。町の人には意外に好評。



次は、体重制限のない、体が大きい人が闊歩する世界にいきます。



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