特別番外編:新婚旅行は危険な香り
PV90000突破記念で、書きそびれていた新婚旅行編を。
時間軸としては「結婚式」と「子供はまだ?」の間くらいです。
異世界旅行ばかりいってたので、今回の新婚旅行は杏子のいる平成14年前後の世界各地を旅行します。
まぁ、この二人が移動すると…トラブルはつきものです(笑
◆ ◆
「ねえ、杏子さん、結婚式も終わったし、急ぎの収穫も全部済んだしさ…新婚旅行に行かないかい?」
妙にもじもじしながら何を言い出すかと思えば…新婚旅行ぉ?!
しかも、手にはいつ買ったのか地球儀を持っている。
妙に年季が入った地球儀を見て、嫌な予感しかしないんだけど?
確かに元の世界に戻ってきてからは、自分たちの家を作ったり実家をリフォームしたり、その後もいろいろあって…やっと結婚式をあげて。
そもそも恋人期間なんかすっ飛ばして、いきなり夫婦だし。
まあ…それを受け入れた私も、この純情一途なイケメン夫にずいぶん惚れてしまったもんだ。
私の好きなタイプとは全く違ってたんだけど、結婚式でウザイあいつらを倒した時は惚れ直したよ!
うわ、自分でいって恥ずかしい~
「…ん、もう、杏子さんってば! また僕の話聞いてない…」
ハッと気づいたら地球儀抱きしめて、半泣きのイケメン夫。
「ごめーん」
あまり反省はしてないけど、とりあえず謝る。すぐ泣くんだもんなー。
「で、町のおばさんたちから聞いたんだ。結婚したら、ハネムーンに行くんだよって!」
そう言ってキラキラした目で地球儀を眺めている。
しっぽがあったらブンブン振ってるよね、絶対。
それにしても…またおばちゃん達から、ロクでもないことを吹き込まれたな…。
「うん、新婚旅行は私も行きたいよ。でも、なんで地球儀を持ってるの?」
せめてハワイとかオーストラリアとかのパンフレットなら分かるけど。
というかそんなに長くは休めないよ?
「え? 新婚旅行は世界一周するのが普通じゃないのかい?」
「なにそれ! どこの大富豪よ、世界一周旅行なんて普通の新婚旅行で行けるわけないじゃない」
ダメだ、だいぶこっちの世界に慣れてきたとは言え、存在自体が非常識だったの忘れてた。
一応、地球のお勉強キットみたいなので知識だけは頭にいれてるけど、細かい常識とかがない。
イケメン夫が大事に持っていた地球儀を奪い、よく見ると…ロシア大陸のところがやけに広い。
あれ、おかしくないこの地球儀?
「ソビエト連邦ーー? これいつの地球儀よ! ソ連なんて国もうとっくの昔にないわよ。」
「え? おばちゃんから、息子がいらないからどうぞってくれたんだ。これで勉強もできるし」
いや、だいぶ国も減ったり増えたりしてるから…。
おばちゃんたちも田舎にずっといるからか、世界情勢なんて気にもしてない。
きっと、地球儀に載ってる国の数なんて覚える気もないんだろうな。
私ももう忘れたけどさ。
「世界一周より、二人で行きたいところを決めて、そこでまったりらぶらぶ過ごすのが新婚旅行だと私は思うんだけど?」
そう言った途端、ボンッとたちまち真っ赤になるイケメン夫。
そういや、私たちまだキスしかしてないような…え、やばくない?
見た目は美肌の湯で若返ったけど、私の中身は30代。
イケメン夫に至っては年齢すら不詳だし…まさかおじいさんとか!?それはないか。
とにかく勢いとノリで結婚させられたけど、まだ完全に夫婦って感じじゃない。
まぁ…出会いがアレで、異世界人だし新婚旅行で夫婦仲がよくなればいいよね!
「…にしても新婚旅行かぁ、いつも山の中だから私は綺麗な海が見たいな」
「うみ? …舐めると塩辛い水、杏子さんは舐めたいのかい?」
「それ、どんな知識よ! 舐めるんじゃなくて景色を楽しんだり、水着で泳ぐの。まぁ海水浴の季節じゃないし、眺めるだけでもいいけど…」
地球儀をカラカラ回しながら、無難にハワイかな~と考えていたら
---新婚旅行ですか、我社イチ押しのプランがありますが---
「「慎んで遠慮します!」」
あら、私たちって息ピッタリ。
冗談じゃない、ナビさんに任せたら絶対にとんでもないトラブルに巻き込まれる!
「ナビさん、今回は諦めてくれないか? 僕たちが夫婦になって初めての旅行だし…」
---了解しま…せん!私だって、お二人に最高の新婚旅行プランを練ってたんですから---
え、ナビさんがキレた?人口知能っていうより、なんか人格が生まれてない?
それでなんで私たち、ピンクな光に包まれてるの!
---ご安心ください、総力をあげてこの地球をマルッと楽しめる新婚旅行を計画しました。出発します---
キレたナビさんによって、いきなり新婚旅行がスタートした。
※とりあえず、プロローグ的な始まりを。
ナビさんがやたら張り切ってます。頼まれてもないのに(笑)
※地球儀は、昭和のです。
※完結してから随分日にちが経過して書くので…かなり不安ですが、ただでは済まない新婚旅行をお楽しみください。
※現在、新連載の方をメインに書いてますので、不定期更新になると思います。
その点はご了承ください。




