異世界チケット使用6枚目。その3
私の目の前でVの字が楽しそうにくるくる回ってる…いけない、現実逃避をしてしまった。
「杏子さん? ひょっとして僕の『水着』似合ってない?」
くるくる回るのを止めて不安げに私を見る。
何と言うか…似合いすぎてなんも言えない!
華奢な体とずっと思ってたけど、脱いだら格闘家みたいな細マッチョだった。
なんで腹筋が8個もあるのよ!理想の腹筋がまさかこんな身近にいたなんて…
私が何も言わずに突っ立ているので、オロオロしてた彼がしまった忘れてた!という表情で
「き、杏子さんの『水着』とてもカワイイヨ! ニアッテルヨ!」
褒めるのを忘れてました!とばかりに私を褒めちぎる。
そんなカタコトで言われても…全然嬉しくないから。
「ありがとう、別に水着を褒めなくていいから。みんな着てるんだし、ンチャックさんもアロハなビキ ニ、よく似合ってるよ。」
ハイビスカス柄のビキニってどうなんだ?と思い、回りを見たら、男性はほぼアロハなビキニ!ついでに女性もビキニ!しかもスタイル抜群の人ばかり…くっ、気にしたら負けな気がする。
でも正直、目のやり場に困ります! なんでそんなに胸が大きいの?!分けて欲しいくらい…(杏子はC、やや垂れ気味を気にしてる)
「…さっさと入ろ? いろいろ入るんでしょ?」
彼の手をとり美肌の湯に向かう。回りは見ずに美肌の湯にまっしぐら~、後ろでイケメンさんが「杏子さんが手を握ってくれた!」とか、なんかごにょごにょ言ってるけど聞こえない聞こえない。
【美肌の湯】
◎効能:お肌を最適な状態に保ちます。
◎入り方:そのまま水着着用で御入りください。かけ湯は必要ありません。
乳白色で確かにお肌に良さそうかも。かけ湯なしでいいの?なんだか汚い気がするのは私だけかな…
そして、美肌の湯は女性に人気かと思ったら、女性より男性が多くてびっくりした。
美肌必要あるの?ってくらい美形なひとばかり。でも、美形にはだいぶ慣れた…行く先々で美形ばかり見ると飽きちゃうね。美人は3日で飽きるって本当かも。
かけ湯もなしにザバ~と入るイケメンさん。深さは大丈夫かな?あ、ちゃんと座れるようになってる、よかった。私だけ特に小さいもんね。
かけ湯なしだと、なんか抵抗あるなぁ…と感じつつ私もそろそろ~っと入る。
うん!いい温度!
ふわ~久しぶりにお風呂だよ!旅行中まともにお風呂入れてなかったもんね。気持ちいい~
美肌の湯をザバザバ顔にかける。ふぃ-、やっぱりお風呂はいいね。
「あー、気持ちいいねー。日本人はさ、ほとんどの国民が毎日お風呂に入るから、旅行中にお風呂ないのはつらいよ。次は宿にお風呂があるところがいいなー。」
「んー、どうかな。難しいと思うよ。僕の世界では湯に浸かる習慣そのものがないからね。杏子さんに聞いてなければ、たぶんお風呂も知らないままだったよ。一応、次の検索条件に入れてはみるけど。」
イケメンさんはじっと動かない。もしかして熱い?
「そっか、日本人のお風呂好きは国外の人にも驚かれてるし、仕方ないのかなー。そういえば、この美肌の湯ってどれくらい効き目があるんだろ? なんか肌がつるつるしてきた気がする。」
お湯をたくさん顔にかけていた私が、顔をふとイケメンさんに向けたらギョッ!って顔をして固まっている。
え、何事?
「き、杏子さん、鏡! 鏡! あそこで自分の顔を見て、早く!」
急に慌てたイケメンさんに言われ、湯から上がって近くの姿見で自分を見た。
なんじゃこりゃー!
鏡に映った自分は、20代に戻ってました。
美肌の湯、究極のアンチエイジング(笑)
杏子、20代の一番きれいな時に戻りました。当然体も20代に。
私も入りたい!
少し短いけど、いったん区切ります。




