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異世界チケット使用6枚目。その2


 さて、温泉街に行こうかとセレブな部屋を出てみると…これまた広い廊下。と丸い円?

窓からはたくさんある温泉が一望できた。すごい、最上階だったんだ!

で、ふと思ったんだけど…エレベーターやエスカレーターがないんだけど、どうやって下に降りるの?


 「最上階なのはいいとして、どうやって下に降りたらいいの?」

私達の滞在する部屋はこの階には一室のみ。本当にこの部屋しかない。


 まさか、飛び降りるとか?!


「ここに呼び鈴が置いてあるよ、えーと、《下に降りる際に鳴らして下さい》

だって。鳴らしてみよう。」

イケメンさんが躊躇せず呼び鈴をチリチリ鳴らす。


 すると廊下の丸い円の中に、黒いムーム-を着た人が突如現れた。

頭も黒い頭巾で覆っていて独特の雰囲気。忍者のような…まさかね。


  「ようこそ、最高級ホテル《ロ・ワイヤル》へ。私、ポーターのセバス・チャンと申します。お客様の滞在中のホテルの移動を任されております。なんなりとお申しつけください。」

 執事さんかとおもいきや、彼はポーターだそうで。

ホテルのエレベーターがわりをやっているらしいけど…いったいどうやって?


「僕たち、おなかが空いたから食事をしたいんだけど、オススメのお店はあるかい?」

 こういう時は受け答えがやけに堂々としているなぁ。普段はへたれだけど。


「かしこまりました。現在、当ホテル一階のレストランで、異世界グルメフェスタを開催しておりますので、そちらでしたら多少好き嫌いがありましても大丈夫と思われます。」

テキパキと答えるセバス・チャンさん。


「へぇ、異世界グルメフェスタかぁ…面白そうだね。杏子さん、行ってみよう!」


「うん、行こうか」

腹ペコなのでこの際なんでもいい!


「ではお二人ともこちらの円へお入りください。《転移:レストラン入り口円へ》」


 私達が円に入り、セバス・チャンさんが行き先を告げるだけで

「着きました。《レストラン:ム・カデ・リーベ》でございます。 どの施設にも、円近くに必ず呼び鈴がございます。お部屋に戻りたい時は呼び鈴を鳴らして頂ければ、すぐにポーターが参ります。では失礼致します。」

 また円に入り、シュッと消えてしまった。本当に移動だけの担当なんだ…

レストランはエスニックな雰囲気で、結構お客さんでごった返している。空いてる席があるかな?

中に入るとすぐに店員さんが駆け寄ってきた。


「ツハイダー様に立花様ですね、※※様よりお話は伺っております。VIP席を用意しております。こちらへどうぞ。」


 そういってガラス張りのきれいな部屋に通された。

 う~わ~、部屋の中にビュッフェスタイルでいろんな料理が用意されてる。

一部視界に入れたくない料理もあるけど…。 虫は無理でしょ!あの辺はスルーしよう。

 それと私達だけじゃなく、セレブな雰囲気漂う人達がかなりいらっしゃいました。

行儀作法とか異世界共通?私がオロオロしていると、クスッと笑いながら


「作法なんか気にしなくて、自分の世界のスタイルでいいんだよ。はい、取り皿どうぞ。早く食べて、<温泉>入りに行こう!」

 ニコニコしてるイケメンさん。ご機嫌だね~。

よし、食べますか!


 取り皿持って料理コーナーへ…


 ヤバい、食べ過ぎた…。

 ビュッフェに和食は無かったけど、中華風と洋風はあったので満足かな。

エビチリとフカヒレが絶品だったけど…こうも味が似てると、誰か私の世界にきて料理を食べた異世界人が絶対いるよね!

目の前に、まだひたすら食べてるイケメンさんがいる。

その華奢な体のどこに入るの?

お店の人もびっくりしてるし、「料理が足りない! 追加だ!」とか騒いでる、なんかすみません。


「それにしてもよく食べるね、そんなに食べたら太らない?」

 私はすでに食後のお茶らしき飲み物を飲んでいる。


「ん?僕たちの種族は太らないよ。太れるのは女性だけだね。だから小人族の世界で、同じ種族のハチェットさんが太っていて…びっくりしたんだ。あの世界に体が順応したとは思うけど。」


「う~ん、うらやましい体質。私達の世界じゃ、ダイエットはいつも悩みの種なのに。でも、あんまり食べ過ぎて温泉に入るのは体によくないよ?」


「え? そうなのかい?」

 イケメンさんがお店の人を見ると、みんなガクガクと首を縦に振っている。

ビュッフェの料理を独占してすみません…


「ん~そうか。じゃ、この辺でやめておくよ。杏子さんは入りたい<温泉>の種類とか希望はあるかい?」


「そうね、まずは美肌効果が高い温泉に入ってみたい! シミとかシワとか気になるし…」

 35才には見えないとは言われても、あちこち老化の兆しはあるものね。


「了解、じゃあ僕も一緒に行くよ。ここは『水着』を着用して入る『混浴』が基本らしいからね。僕は初めてだから楽しみだよ。」


 なにそれ!?温泉じゃないよ…健康ランドだ。

『水着』『混浴』といい、料理といいこの世界、日本を真似してない?


 なんか異世界に来た気がしないなぁ…

ぶつぶつ文句をいいながら、『美肌の湯』を目指す私達だった。


 温泉は効能によってあちこちに分かれていて、中には危険な効能もあるので、入り口で必ずカードを通してどこにいるか警備隊が把握する仕組みらしい。危険な効能ってなんだろう?怖いから近づかないようにしよう。


 <美肌の湯>とかかれた暖簾をくぐり、男女別れて着替える。こんなとこまでそっくり。


「中で先に温泉に入ってていいから。着替えに時間かかるかもしれないし」

 イケメンさんにそう告げて脱衣所に向かう。 ウキウキしている彼に聞こえてるのか怪しいけど。


 さて着替え…え、これ?

中で温泉担当の店員さんに手渡されたのは、スクール水着・超ビキニ・セパレーツ水着・湯浴み着(全身覆うタイプ)だった。一度選ぶと変更はできないのでよく考えて選ぶように言われた。

 この世界で温泉に入る共通の水着らしい。ムームーは施設内移動用の共通服で、水着も共通らしい。

選べるだけマシかな…

 悩んだ挙げ句、ピンクのアロハ柄セパレーツ水着にした。下はパレオでよかった。

いまさらビキニなんて無理だし。


 はぁ~着替えるだけで疲れたわ…、と中に入るとさらに疲れる人が待っていた。


「あ、杏子さん、どうだい?僕の水着姿は?」

 どうやら私を待っていたらしく、脱衣所から中に入る場所にイケメンさんが誇らしげに立っていた。


 超ビキニで!!



近所にこういう健康ランドが本当にあります。ムームーを強制で着せられます。

せめて色を選ばせてほしいと切実に思います。サイズもフリーでぶかぶかだったりします。


イケメン、なぜか超ビキニをチョイス(笑) 


さて、どうなることやら…




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