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異世界チケット使用5枚目。その2

治安に不安な世界と判明。


町に着く前にイケメンが勇気を出します、多分。


 ピーちゃんのスキル、半端なかった。

 さすが神様を乗せた馬である。

余っている羽を拡張して私のまわりをふんわり包んでくれた。暖かい…羽毛布団を思い出す。

 そして、反対側と言うのは文字通り反対側だった。

 日本の裏側、ブラジルみたいに…遠かった。


 町が見えたころにはすっかり日が暮れていた。砂漠よりは寒くないけど、冷えるなぁ。

星空は初めて見るかも、いつも明るい時間の行動だったしね。

やけに小惑星が多い気がする、土星みたいな世界なのかな、落ちてきそうで怖い。


 町の入口付近で下りる時に、ピーちゃんは私を包んでいた羽を気前よくくれた。

ありがとう、大好きだよ!

 ふわっとピーちゃんは夜空に消えていった。いつもどこにいるのか謎だね。

さて町に向かってとことこよちよち歩きながら、すでに恒例になっている情報収集といきますか。


「ではナビさん、この町の概要を教えてもらえますか?」


----この町には羊・山羊・羊と山羊のハーフ、その他です。その他というのは分類がしづらい獣人です。どうもスラムのような場所もありそうです。もし宿が取れないようでしたら、町から離れるか世界を移動することをお勧めします。この町は安全とは言い難いです。以前この世界を登録した時はここまで荒廃した世界ではなく、緑と水の豊かな、素晴らしい羊の王が治めていた世界だったんです。たった数年でここまで荒廃するには、なにか良くない理由があるはずです。十分お気を付けください----


 え~!なにその怖い理由、数年で世界の半分が砂漠化したとか?普通に有り得ない。

 ナビさんの言うとおり、何か良くない原因がありそう。初めて異世界を怖いと感じた。

たしかに今までが平和過ぎたのかもしれないな…


 ちょっとどんより暗くなっていたら、イケメンさんが恐る恐る手を握ってきた。震えてるよ!

「僕がついてるから大丈夫さ! 小人族の世界でずいぶん鍛えられたよ。…多分だけど…」

 最後に尻すぼみしなければ格好よかったのに。でもありがとう。


「とりあえず町にいってみてヤバそうだったら、町の外に逃げるだけだね。暗くてよく見えないし」

 入口の明かりも松明だし、文明や科学は期待できないね。

昔の西部劇の寂れた酒場みたいな雰囲気である。


「とにかく泊まれるところを探そう。部屋も同じにしよう、別々だと何かあってもすぐ助けにいけないしね。」


「ん? いつも同じ部屋だったじゃない? 逆にいまさら別にされても困るよ。急にどうしたの?」

 いきなり部屋を別に取るのかと怖くなった、これでも頼りにしてるんだからね!言わないけど。


「…、そうだった…、なんでもないよ。これからも移動先で泊まるときは同じ部屋でいいってことだよね?その、一応杏子さんは独身の女性だし、僕は今まで気遣いや配慮が足りなかったかと心配になって…ごにょごにょ…」

 もじもじしてはっきり言わない、あー、イライラするなぁ。もう!


「いまさら遠慮してどうするの! 変な気遣いとかいらないから。ンチャックさんは恋人探し、私は旅行を楽しむ、あ、でも恋人ができたらさすがに部屋は別にしないとだめか…うーん…」

 私がそういうと、歩みを止めて急に肩を掴み私にこう言った。


「考えてたんだけど…、僕はイザべラ以外の女性に出会ったことがなかった。しかも国ぐるみで間違った女性意識を植え付けられていて、今のままだとまともな恋愛もできないと思う。だから、いったん恋人探しは置いといて、まずは女性という存在に慣れようと思うんだ。杏子さん、僕に女性というものがどういう存在なのかいっしょにいる間でいいんだ、いちから教えてほしい。」

 うるうるした目で見つめるイケメンさん。

ずるい、そんな風に言われたら「うん」としか言えない。

 元の世界から離れれば洗脳は意味がなくなるのか、イケメンさんがすごくまともなことを言い出し面食らってしまった。


 純情一途、へたれで泣き虫なのは元々の性格だったてわけか…

 でも私の好みに仕立てて、果たして女性からモテるのか微妙だなぁ。

自分の男性の好みが特殊だというのは理解してる。

 あ、ちなみに私が好きな男性のタイプは、年上で包容力があって紳士で、さらに歴戦をくぐり抜けたタフガイが好きです!腹筋は6つか8つに割れてるということなし!

だからいつまでたっても独身なんだよね。でも妥協したくないし…。


 考えていたらすっかりイケメンさんのこと忘れてた!

涙腺が今にも崩壊しそう、あちゃー。


「ごめんごめん、ちょっと考え事しちゃってた。私でいいの? あまり参考にならないと思うけど…」


「杏子さんに頼みたいんだ…」

 涙がホロリ。

涙腺崩壊しました。


「わかった。恋人探しは継続しつつ、女性の恋愛心理と男性はどうあるべきか、を教えたらいいのね? 一からだから…難しいけど、できるだけやってみる。」


 ヤッター、ありがとう!と羊に抱きしめられた。


 そんなこんなで町の入口に着きました。



杏子に女性たるものを教わってはいけません(笑)杏子の男性の好みもある意味マニアック。似た者同士。杏子、本当はそれなりにモテます。ただ、好みじゃない男に言い寄られても全く相手にしません。だが、それがいい!と妙な舎弟ばかり増えてます。姉御と呼ばれる所以はそのへんにありました(初回参照)



着ぐるみって着たことないですけど、動きにくいですよね?町の入り口は割と近かったのにポテポテ歩いていたので、すっかり日が暮れました。


初の夜の異世界。しかもスラム街あります。夜は特に危ないかも…


がんばれ、イケメン!

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