表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/59

異世界チケット使用4枚目。その6

書いていた3000字近くを謝って削除、心が折れました。そして復活。こまめに保存しようと反省。

長老の過去が判明します。

今回、珍しくイケメンさんのターン。ほんの少しだけね。



この世界にはもう少し滞在します。




 

 私に群がる独身男性達から抜け出し、一人佇むイケメンさんの横に陣取る。

最初はエリンソクを食べるのを嫌がっていたけど、私がニッコリ笑って「ふ~ふ~、はい、あ~んして」と口を無理矢理開けさせ、食べ物をいろいろほうり込んであげた。

 そのやり取りを見たからか、独身男性からの交際と求婚の申し込みはパタッと無くなった。

ふふふふ、作戦成功~。ダシに使ってごめんね、イケメンさん。

私の目的は異世界旅行であって、恋人探しじゃないしね。

イケメンさんはあうあうと真っ赤になってたけど、まだお肉が熱かった?

独身男性たちが去ったあと、村人たちから昼からの作業の手伝いを頼まれた。


 彼等は小さいため、やはりいろいろ大変らしい。

長老さんもあちこち手伝いに走り回るけど、これだけ広い村を見るのは厳しいと思う。

これをずっと一人でこなしていたんですか?と聞いたら、稀に比較的背の高い者(私くらい)が生まれるらしく、そういう人たちと普段は組んで手伝いをするとのこと。

今は武器や不足している品物の仕入れのため、村を離れており戻って来るのにまだ数日はかかるそうだ。できれば彼等が戻るまで、この世界に居てほしいと長老ハチェットさんに頼まれてしまった。


「私は構わないけどどうします?」


「僕はずっと情けないとこばかり見られてるからね、少しは役に立つところを見せたい。頑張って手伝うよ!」

ムンッと腕まくりをして意気込みを見せた。細っ。

 いまさらだけど…イケメンさんに狩人の服が似合わない。

すごく服に着られてる…チャイナ服の方が似合ってたってのが不憫だわぁ。

私も狩人の服になってるけど、女性は白皮のベストにざっくりしたシャツ、下は白皮のキュロット。

狩人というより村娘な感じですごくかわいくて動きやすいし、前回の強制チャイナより断然いい!

狩猟民族というだけあって、お手伝いは罠を仕掛けたり、高い所に仕掛けてあった罠を回収したり、高い所に関連するものばかりだった。首が痛いです!

私は160センチ近くあるけど、高い所の作業は2メートル近くあるイケメンさんと長老ハチェットさんには敵わない。

それにすでに首・腰が痛い。高い作業は二人に任せようっと。

長老ハチェットさんに違う手伝いがないか聞いたら、肉を捌く手が足りないと聞いたので、エリンソクとバトルした倉庫に戻ることにした。


 バーベキューした片付けはとっくに済んでいて、代わりにいろんな動物が並べられていた。女性たち何人かで一生懸命捌いていた。

ひょっとしてこれ全部捌くとか…?


「あ!杏子さん! よかった、手伝いにきてくれたのね~私たちだけじゃ手が足りなくて…はい、これ。」

タマヨさんがニコニコしながら鉈と前掛けを手渡す。

「さぁ~ガンガン捌いて終わらせましょう! 剥いだ皮はここ、肉はこっち、骨はここ、分業にしてるからまずは流れを見てできそうな所に入ってね。ゲンジから捌くの上手だったって聞いてるから期待してるわー。」

よし、高いところの手伝いよりは気分的に楽だ、頑張って捌くとしますか。





 杏子が女性陣と友好を深めている頃、長身二人組は緊急の作業を黙々とこなしていた。


「よし、これでとりあえず緊急の分は済んだな、ありがとう。助かったよ。そこの詰め所で休むとしようか。」

村の入り口にある小さな詰所に入る、村人サイズで狭いが仕方ない。


「はい、本当に緊急のばかりで驚きました。体が小さすぎるというのも大変ですね。」

ンチャック達が間に合わなかったら、危険な作業もかなりあったのだ。


「ああ、普段ならここまで緊急なものは溜まらないが、今はあいつらが村を出てるからな。どうしても裁ききれない。早く帰ってこれたらいいんだが。霧が濃くなると身動きとれなくなるからなぁ。」

彼は空を仰ぎ仲間の心配をしている。


 僕はずっと気になっていたことを、同郷二人の今しかないと考え思い切って聞いてみた。


「あの…イザベラに殺されかけたって言われましたけど、どうしてそんなことに? 貴方はイザベラの1番のお気に入りだったんでしょう?」

 そう、ツハイダーで統一するくらい好きだったはずだ。信じられないが。

イザべラは確かにわがままだったけど、人を殺めるようなことはしないと感じた。

豊かにふくよかな分、他の女性たちよりははるかに優しい性格だったのだから。

だからイザべラの人気はすごかったのだ…残念ながら僕は振られてしまったけど。


「あー、なんというかな…最初は旅行中の軽い口喧嘩から発展してな? 最後は取っ組み合いになって…私は危うく窒息死させられかけたんだ。アイツ、200キロの体を生かして顔に腹の贅肉押しつけやがった! 確かに私も言いすぎたかもしれないが、死ぬところだった…。」

苦々しい顔で話す。


「なんでそんなことに…なんていって怒らせたんです?」


「…少しは痩せろ、これ以上太るなと。あと、わがまま言いすぎ、それとこき使うな、えーと、あとは…」

指折り数えながら喧嘩の内容を思い出そうとしている。どれだけ悪くいったのか…


「あ、なんで怒ったか分かりました。体重のことに触れたらダメですよ! 今なんて軽く400キロありますから。僕はそれを抱っこしましたよ。それにしてもよく逃げれましたね。」

あの体にのしかかかられたら抜け出すのは苦労するはずだ。


「足をふんづけて、ひるんだ隙に素早く逃げて…隠してた帰還用チケットで、とにかくイザべラみたいな女がいない安全な長寿の人間がいる世界とかなんとか検索条件付けて…移動ポイント作動させて逃げた瞬間に意識を失ってな。酸欠状態だったし…気がついたらゲンジに保護されていた。

あの時はこの村には何もなくてな…馴染むのに苦労したよ。ここはほら、美的感覚が独特だろう? それから自分が<旅行者>であることや、命からがら逃げてきたこととか話して、ゲンジと一緒に行動するようになったんだ。彼のおかげで生きているようなものだ。」


「元の世界に帰りたいですか?」

これも聞いてみたかった。チケットはまだ余裕があるし帰還用に譲渡しても構わない。

杏子さんが怒るかなぁ。


「いや、あんなとこには二度と戻りたくないね。イザベラの体重を聞いたら二倍になってるし、さらに傍若無人になってるだろ…いまさら帰ったってな。それに大変だけど、生きるのに必死なこの世界と村人が好きだよ。守りたいと思う、命有る限り。で、話は変わるけどな、杏子さんのこと本当は好きなんじゃないのか? さっきなんかラブラブだったじゃないか!!」

ニヤニヤと意地悪な質問をしてきた!うぐっ、痛いところを突いてきた。年寄りは嫌だなぁ。


 う~ん、小柄で細いけど、正直とてもかわいいと思う。女性としてとんでもない行動や言動もあるけど…そばにいるとドキドキするのは確かで…。そもそも、イザべラ以外の女性なんて初めて会ったし、成り行きとはいえ一緒に旅行してくれるとは思わなかった。泊まる部屋が同じでもいいなんて…もしかして少しは期待しても?!

いや、でも…あーでもないこーでもないとぐるぐる考え込んでしまったら、僕の表情がくるくる変わっていたのか、彼がゲラゲラ笑っていた。むっ、笑いすぎじゃないですか?


「ぶははは、青春だな! 大いに悩め青年、杏子さんも君を嫌ってはいないさ。恋愛感情があるかどうかはまだわからないがね。まだ出会って数日なんだろう? これからいいところを見せれば、彼女と恋人になれるかもしれないよ?」


「こ、恋人に!?」

それを聞いただけで真っ赤になってしまい、またまた爆笑されるのだった…。

詰め所を出てからも、帰るまでずっとからかわれ心身ともにぐったりした僕だった。


 そして夕方、たくさん動物を捌いていたのー、と彼女の血まみれ姿を見てひっくり返ったのは言うまでもない。


こうして…滞在二日目が過ぎて行った。



杏子、血まみれ。杏子にとって獲物を捌くのは魚を捌くのと変わらないです。

かなり特殊なOLかも。どんな花嫁修業をしたんだ…


イケメン、杏子をかなり意識し始めてます。あーんはベタな恋愛フラグですが、まだまだ一方通行です(笑)血を見て倒れているようでは無理。


実際、あーんを目の前でやられるとむかつくのはなぜでしょうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ