表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と子犬な後輩  作者: 三笠 諒
一年目 春
12/21

不良、彼はまさに子犬

本当に更新が遅れてすみません!


最近私生活が忙しく、更新が遅くなってしまいそうです……。

「……え?」

 口下手な透子が無駄な言葉を話すことは珍しい。

 よって、こうして疑問の声をあげることが一年に一度くらいの頻度であるのだ。――つまり、一年に一度しかない程の驚きがこの時生まれたわけである。

 そう。

 金髪のいかにも不良そうな人――確か長谷川君といったか――が意味不明なことを言ったのが、魔王と恐れられる北条透子を驚かせたのだ。

「……今、なん…て?」

「……っ!す、すみませんっ!あ、あの、つい、欲望が……」

 長谷川君は顔を真っ赤に染め上げて、躊躇いながらも口を開く。その姿もやはり絵になる。恰好いいからか?不良と告白ってイメージ的にシュールだけど。

「……あの、姐御って呼んでもいいスか?」

 そう言われた一言に、フリーズした。

 どうやら聞き間違いとかそういうのじゃないらしい。聞き間違いであって欲しかった。


 長谷川君が、姉趣味(そん)な人だと知りたくなかった!


「……ちょ…っと、無理」

「!? なんでっすか...…?」

 否と答えると、長谷川君は絶望したような顔になって、がくりと校舎にもたれた。最後の「なんでっすか……?」は消えいるような声だった。

 それにしても、理由、ねえ。

「…なんか、イヤ」

 それに大きく肩を落とす長谷川君。

 数秒たって、名案思いついたように言う。

「……じゃあ、じゃあ!せめて姐さんと!」

 なんで風紀委員が不良の姐さんやらなくてはいけないのか。

「…こと、わる」


 当たり前です。


「……う、ぅぅううう」

「……」

 心底悲しそうな顔で呻き声を発する彼は、さっきまでの自信満々イケメンフェイスが台無しになっている。もうすっかり子犬系だ。……なんだかダンボール箱に入っている可哀想な子犬を連想してしまう。そう思っているうちに、雨の日のオプションまでついてくる。

(なんかこう、罪悪感が……!!)

「……」

「……」

「……う、……せ、先輩、って……」

「本当っすか!?ありがとうございます!!」

「……え、あ、……」

「先輩っ!先輩のカッコよさに惚れました!!――あの、しゃ、しゃしゃしゃしゃ舎弟にっ!して下さい!!」

 真剣な目で、こちらを見つめてくる長谷川君(イケメン)。その顔は興奮のせいかほのかに赤みを帯びている。

「………………え?」


 ……What?


「俺を、先輩の舎弟に……もし駄目だったらパシリでもいいんですっ!どうかっ!」

(なんでそんな必死に!?……はっ、まさか……)


 長谷川(子犬)君……


(榊君のこと、怖かったのね!!)


 だってあの最☆強榊君だ。怖くたって仕方ない……さっきまでは強がってたのか。あんなに余裕そうに見えたのに……ほかの三人は何故長谷川君の気持ちを汲み取ってあげなかったのか。本当に榊君以外は無能だ。

 そこで私が助けに入った――うん、お礼をしたいのね、助けてくれた。じゃなければまさか今みたいな発言が出てくるはずない。

「……礼は、いら……ない」

 結構端折ったけど、意味は分かるよね。

「え……ちが、」

「じゃあ」

 長谷川くんは大きく目を見開いた後、なにか言おうとしていたけど、ぶっちゃけ気にする余裕はない。だって、

(榊くぅぅうううん!!まだ怒ってる!?)

 今現在最大の懸念がそれだからだ。

 ダッシュでその場を去る。(子犬)の違反は、今回は見逃してやろう。すごい怖かったようだし。

(……まぁ、時間を無駄にしたくないだけだけど。)

 本音を少しだけ漏らしながら、榊君の向かった方に走る。バイブし続ける携帯は無視。なにがどうなっても無視だ。どうせどこかの暴君(清水先輩)からとんでもないことを言われるだけだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ