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神-U.E.Remains.Nonorema  作者: 一鸞一
第一章-カイコリオ浮遊諸島
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第五話 悪夢の変異体『ドレックス』


ワシは周囲の雰囲気に合わせながら、侵略天使襲撃の現場まで一直線に走り出す。

ワシを含む五人のチームメンバーは侵略天使がいると思われる遺画の塔より北方三キロメートル地点へ乗り出す。


「見えたぞ、あれが敵性遺物だ.......全員僕の指示に従い、陣形を組め.......!」


「陣形.......じゃと?」


ワシは唐突なラルカの指示に困惑する。

途端、ベテランらしき中年の武人は不服そうな視線をワシに向けた。


「おい、ラルカ。

この期待の新人っての、ほんとに使えるやつなのか?

見たところ陣形のじの字も知らない素人のようだが?」


「ウーイズ、これはヨムドさんの指令だ。

文句があるなら彼に直接言ってくれ」


「冗談を。

そもそもの話、こんなクソガキ如きを特別扱いするなんて気に食わねえんだよな。

おい、テメェ。

名前はなんて言うんだ?」


ガラの悪いベテランの中年はワシに横柄な態度を見せ、不快感に似た感情を露わにしていた。


「ワシですか?

ワシはモンズと言います」


「モンズか。

俺はな、テメェみてえなチヤホヤされるようなガキが大嫌いなんだ。

若い癖に調子に乗るなよ、お前」


「.......」


ワシは一瞬眉を顰める。

しかし、これらのことは社会に出れば当たり前になっていく出来事だ。

慣れていかなければならない.......そんなことを考えていた刹那、ウーイズはワシの胸ぐらを掴み、持ち上げた。


「.......え!?」


「テメェ、なんだその目は?

反抗的な目をするヤツには仕置きが必要だよなあ?」


「よせ、ウーイズ!!!」


ワシはその中年に思いきり殴られそうになる。

その瞬間、巨大な衝撃波がそばに近づいていることに気がつく。

それは地鳴りのような音だった。

次の瞬間、二本の槍がワシらめがけて降り注ぎ、そしてそれらの槍は爆音と衝撃を周囲に解き放った。


「しまった、天使に見つかったぞ!!!」


ウーイズはチッと舌打ちし、ワシを地面に放り投げる。


「命拾いしたな。

だが、次は外さねえ」


「.......」


ワシは彼に不服な思いを感じながらも、サッと立ち上がり、そして服についた砂埃を払いとった。


「モンズ君、戦闘だ!!!

悪いが、君の協力は必要不可欠だ!!!

我々を助けると思って、戦闘に参加してくれ.......!」


「ま、助ける側じゃなくて『される側』だろうがな」


ウーイズは余計な一言をわざわざワシに突き刺した後、盾のようなものを構える。

どうやら、囮役はその盾が重要な装備になるらしいとワシは即座に察する。

ウーイズは四人から離れ、空を飛翔する侵略天使の注目を集めると、すぐさま彼らの攻撃を誘い始めた。


「よし、作戦開始だ!!!

ウーイズが誘っているうちに僕がお手本を見せる.......!

ぶっつけ本番だが、死に物狂いでやってくれ!!!」


「はっ!」


ワシは即座に返事を返すと、ぐっと拳を握り上空を凝視する。

敵性遺物と思しきものが浮かぶ蒼穹そうきゅうには二十を超える数の白い翼を持つ天使たちが待ち受けており、その中心に禍々しいほどにどす黒い『水晶』のような遺物がふわふわと宙に浮いていた。


「ウーイズ、囮は任せるぞ!!!

リーナン、ウーイズを援護し天使を着実に迎え撃て!!!」


「了解!!!」


「さて、新人二人。

まずは我々の仕事をしっかりと見て覚えなさい。

最初はできないだろうが、慣れれば少しずつできるようになってくる。

今は持ち場を離れず、見ることに集中しなさい」


「はっ!」


武官のラルカはワシともう一人の新人に持ち場を離れないよう指示を出す。

ワシらはそれに従いリーナンとウーイズの二人を観察していると、戦闘を行なっている二人の中年は見事な腕捌きで侵略天使を攻略し、ほぼ無傷のままそれらを叩きのめしていた。


「すごい.......!

あれがベテランの武人の仕事なのか.......!」


ワシの隣で立っている新人はジーンと感動しながら二人の戦闘に釘づけになる。

そんな中、武官のラルカは天使たちのとある違和感を感じていた。


「......しかし妙だな。

天使が攻撃を学習している。

彼らは攻撃性こそ高いが、知能はそんなに高くなかったはずだ」


「どういう、ことですか?」


ワシは武官のラルカにどういうことなのかを尋ねようとした途端、事態は急変した。

ラルカはワシの言葉に一切耳を傾けず、とある何かを見つけ

血の気の引いたような顔を見せる。


「.......まさか、アイツは........!!」


「......リーダー?」


ワシはラルカが見ている物のある方向へ視線を注ぐ。

そこにいたのはワシの想像の範疇を超えた、漆黒の肉体と赤の槍を持つ一回り大きな天使であった。


「リーダー、あの黒い天使はなんなんですか!?」


ワシは武官のラルカに確認を取る質問を問う。


「まずい事態になった。

モンズ君、君はすぐに本部に戻って救援を呼んでくれ。

あれは侵略天使の『変異体』。

かつて一つの国家をたった一度の侵攻で壊滅させたという悪夢の変異体『ドレックス』だ.......!」


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