表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝ける明けの明星  作者: 六福亭
49/66

第9章 2

 一方で、私にはこれといった特技も魅力もなかった。


 容姿は十人並み。といっても引き比べる同年代の友人などいないのだが。父の言いつけは必ず守り、不平不満一つ漏らさない。けれどそれ以外の会話やレイラのように可愛くおねだりすることも苦手だ。それは長女であるからというだけでなく、三人しかいないこの家族の秩序を保てるのは自分だという気負いがあった。貴女はふわふわしているし、父は外に出ること以外はやかましく口を挟まない。ともすれば家の中が非常に閉塞的あるいは治外法権的な空間になりかねないと私は早くから悟った。いつ外の世界で生きられるのか分からないが、その時に大恥をかかぬよう家の中に小さな社会を作り、運営していかなければならない。常識と倫理を備えた住人になるために努力した。ささやかでも厳格な規律を作り、貴女と父に公布した。貴女はかなり不満げだったけれど、正しいことをしたと私は信じている。


 父について。大抵私たちと一緒に家の中にいたけれど、時々「仕事」をしに出かけていった。父が魔術師だというのは結構後になって知ったことだ。良識があり、いつも穏やかだった。香りの良い煙草を愛用していた。私と二人きりでいる時、よく亡くなった母の思い出話をしてくれた。私は最近になってもその話を聴くのがとても好きだった。レイラには甘いが、私には長子としてのけじめをつけるような厳しい態度を見せることもしばしばだった。そんな区別を私は嫌とは思っていない。信頼されている証だ。


 父の友人は、私が五歳の頃に初めて父とやってきた。それまで長い長い旅をしていた父が連れてきたのだ。私たちが長じてからはちっとも家に来てくれなかった。旅に出ているのだと父から聞いた。貴女と父の死を知らせるべきかどうか、果たしてその手段があるのかどうか今とても悩んでいる。


 貴女がある程度大きくなってからは、家事を二人で分担するようになった。私が掃除洗濯、貴女が料理。そのせいでか知らないけれど、貴女はお菓子や料理を作るのがとても上手くなった代わりに掃除が一切できない子になった。もっとも、私も人のことは全く言えないけれど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ