表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝ける明けの明星  作者: 六福亭
40/66

第7章 驚愕

 完全に二人の姿が見えなくなってから、オグマは刃物を降ろしわたしを解放した。

「あの人たち、どこに行ったのかしら」

「賢明にも逃亡したのか、あるいはガイールの元か」

「ねえ、さっきは本当に殺すつもりだった?」

「まさか。はったりだ」

 オグマは仏頂面で言う。「いずれ彼とは戦わなければならんだろうがな、子どもたちは誰一人犠牲にしたくない」

「そう。……わたしの家に行く?」

「ああ」

 もし誰か邪な魔術師がそこで待ち受けていたら。血で血を洗う悲惨な光景が繰り広げられるのかもしれない。

 それでもいい。そんなことを思っている自分が嫌になる。だけど、家に帰ってはい、さよならとなるのは嫌だった。古井戸のように停滞した日常に戻りたくなかった。自分をきちんと扱ってくれる人たちと一緒にいたい。外を気のむくままに歩きたい。わくわくする冒険の中にいたい。


 オグマは短剣を抜き身のまま握り、ぴったりとわたしの隣についている。最初に抱いた嫌悪感はなんだったのだろう。今では、ずっと前から知っている人のように信頼してる。


 歩き慣れた小道、見慣れた風景、嗅ぎ慣れた匂い。わたしの家が見えてくる。こんな夜更けなのに明かりが灯っている。

「誰かいるわ。魔術師かもしれない」

 わたしはオグマに囁く。「もう一度わたしを人質にとる?」

「君が許すならば」

「許してあげる」

恋人みたいに寄り添って、そのくせ緊張でこわばった表情で、わたしたちは家に向かって歩いた。

扉を叩くと、すぐに内側から開いた。その瞬間、わたしは絶句した。


 家の中にいたのは、もう一人のわたしだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ