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第6章 5
オグマさんが、わたしを穴に落としたんだ。信じられない。どこの誰が、こんないたいけな少女を穴に放り込む?
見上げても、外の景色なんて見えない。せいぜい月のように白い光がぽつんと遙か遠くにあるのがわかるだけ。一体どこまで下に落ちたんだろう?
何かを叩いているような音がする。かなり遠い。だけど、止まることも乱れることもない。こんな地下に誰かがいるのだろうか?
そういえば、墓の周りには採石場が広がっていた。宝石や鉄を掘る職人がいるのかもしれない。優しい人たちなら、地上までの戻り方を教えてくれるかしら。
目が慣れるまでしばし待つ。その間、心の中で不安が広がってきた。オグマは今何をしているのだろう? ルビーは得体の知れない男たちの手に渡ってしまった。だけどレイラの方は?
頬にひやりと冷たいものがかすめた。
「きゃっ!」
顔を押さえても、何もついてない。変なの、と思った時、目の前がぼんやり明るくなった。わたしより背の低い誰かが黄緑色の薄明かりに照らされて、そこに立っている……。




