第5章 5
「……やっと見つけた」
オグマの声がした。少し疲れてる。
「さあ、リートとこの子を返してもらおうか」
「そうはいかないね。こいつはあたしの獲物だ」
オグマさんはわたしの前に出る。
「えせ占い師が、何を企んでいる?」
ジャネスはヒステリックな笑い声を上げた。
「あたしは占い師よりも本当の魔術師なのさ! 誰にもできないことをやれる。お前とも占い師どもとも違う!」
「腐った性根と占いの下手さで追い出されたんだろう。魔術師の猿真似よりも先にまともな占いの一つでも見せてみろ」
「うるさいっ!」
思わず吹き出してしまい、慌てて口を押さえた。ジャネスはやけに静かな声で言った。
「後で後悔しても知らないよ」
オグマが動く。だけどその時には既に皆いなくなっていた。ジャネスもモリも、リートさえ。オグマはしばらく辺りを歩き回っていたが、諦めて戻ってきた。
「オグマさん……」
焦りと怒りの滲んだ声でわたしに聞く。
「何があったんだ」
わたしは自分が分かっていることだけを全て話した。
「……まあ……君が無事だったのが不幸中の幸いだな」
胸が罪悪感で苦しい。わたしのせいだ。勝手に館を抜け出したせいでこうなった。
「ごめんなさい」
「いい。放っておいた俺も悪い」
だけど、苦虫をかみつぶしたような顔のオグマの怒りは、きっとわたしに向けられている。
「ううん、わたしのせいです」
ぽろっと涙がこぼれ落ちた。
「わたしのせいなの。何も出来なかった。役立たずで足ばかり引っ張ってて……め、迷惑ばかりかけて」
オグマが溜息をついた。いけない、また困らせてる。戦くわたしにかけられたのは優しい響きのある声だった。
「君もリートもまだ子どもなんだ。迷惑ぐらいいくらでもかければいい。あまり気にするな」
「で、でも……」
「失敗を返上するために俺がいる。リートを助けに行こう。必ず間に合う」
わたしは涙を何度も拭う。
「本当に? 大丈夫?」
「大丈夫。随分前から手は打ってある」
顔を上げると、オグマは微笑んでいた。




