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生徒会長の秘密を知ったら専属メイドになってくれました  作者: すずと


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第99話 修学旅行の夜の暴露大会は別次元から放たれる

 トラブル続きの修学旅行初日だったので、宿泊先までの道も、もう1つの山でもあるかと思われたが、そんなことはなく、難なくホテルへと辿り着いた。


 ただ、時間は微妙に遅れていたらしく、俺達3人以外は全員ホテルの夕食会場に着席しており、遅れての来場となってしまう。


 だだっ広いホテルの夕食会場は床が絨毯になっており、靴でもその柔らかさを堪能できる。ビュッフェ方式を採用しているみたいで、会場の両端と真ん中に料理が運ばれている。


 なんて悠長な感想を述べている場合ではなかった。


 遅れて来た人っていうのは、どうしても目立つ訳で……。それが、最近噂の俺と有希なら尚のこと。殺気に近い視線を四方八方から浴びることになってしまった。


 すんごい怖いんですけど……。


 何席もある大きな丸テーブルのうち、俺と有希は、《F3》と書かれた旗が真ん中に置かれているテーブルに座るように猫芝先生に指示を受けると、先生は教員のテーブルへと向かって行った。


 ビクビクと周りの殺気に怯えがならも着席した瞬間だった。


「こおおおぉぉぉ!」


 ガバッと、熊みたいな大きな生命体が俺に抱きついてくる。


「会いたかったぜええ!」

「ええい! 離れよ! くそ正吾!」


 正吾の顔面を剥がすようにしているのだが、力がバカ強いので中々剥がれない。


「どこ行ってたんだよお! 寂しかったんだぜえ!」

「嘘つけ!」


 この野郎から、移動中に何回かLOINが届いたが、その全部がスキーを堪能している写真を送りつけてきやがった。


 それを見せてやると、「いやいや!」と慌てて否定してくる。


「マジだって! 晃のいないスキーなんてスキーじゃねぇよ! ただの雪の上を滑るやつだぜ!」

「それをスキーって言うんだよ」


 相変わらずのバカ発言に笑いそうになると、同じテーブルの白川琥珀が、「やー」と声を漏らして言ってくる。


「本当、守神くんいなくて大変だったんだよ?」


 肩を落として言う白川の様子から、言葉通りなのが伺える。


「こいつ、何したの?」

「『晃の仇は俺が取る!』とか言って、上級者コースに行って、インストラクターの先生と勝負してた」

「バカなの? お前スキー初心者だろ?」

「ふっ……。五分五分だったぜ」

「あ、うん。インストラクターの先生が勝ったんだけどね。勝つまでやめないスタイルを止めるこっちはしんどいったら」

「おいバカ正吾。謝れよ」

「めんご」

「あ、うん。もう良いよ……」


 呆れた白川を宥めるように有希が、ぽんぽんと肩を叩いていた。


 そこから2人のガールズトークが始まり、こちらもボーイズトークとなってしまった。







 ボーイズトークは続くよどこまでも。


 ってなわけで、俺と正吾のボーイズトークは人数を増やし、場所を変えての延長戦。


 いつもより早い夕食を済まし、各クラス順番に風呂に入り終わると、部屋に戻る様に指示をされてしまう。


 しおりでは21時就寝とされており、誰もが、「早すぎるだろっ」なんてツッコミを入れているが、先生も含めてこの就寝時間を守る奴なんてほとんどいないと思っていることだろう。


「で……?」


 20時過ぎ。


 それぞれ寝巻きに着替えた大部屋の俺の部屋。男子5人のむさ苦しい部屋で、暇潰しにテレビを点けながらトランプをして遊んでいると、1人のクラスメイトが俺を見てくる。


「結局、守神と妖精女王ティターニアは付き合ってるんだろ?」

「うっ」


 いきなりの言葉に、ボデイブローを受けたみたいな声が出てしまう。


「動揺してんじゃん」

「なんだかんだ言っても噂はマジだったんだな」


 他のクラスメイトも追い討ちをかけてくる。


「いや!」


 こちらの否定の言葉もかき消されてしまう。


「言い訳は無駄だ。素直に白状しろ」

「そうだぞ。今ならまだ楽に殺してやる」

「早くゲロって楽になりな」


 殺される運命しかないの?


 3人の言葉に、反論の余地もない俺は、助け舟として正吾を見る。


 ビッ!


 親指を立てて、「まかせろ」と言わんとする顔つき。流石は正吾。頼りになるガタイだ。


 彼は息を吸ってクラスメイト達に言い放ってくれる。


「晃と大平は恋人じゃねぇよ!」


 正吾……。やっぱりお前は頼りになるよ。本当に良い奴だな。


「最早夫婦だ!」

「てめっ! このやろっ! 裏切りやがったな! クソ正吾!」

「だってよぉ。もう、無理だろ!」

「む、無理じゃないもん! まだなんとかなる段階だもん!」


 口調が幼稚になってしまったのをクラスメイト達は気にせずに睨んでくる。


「晃! 今日は修学旅行だ! 曝け出そうぜっ!」


 そして、腕を上げて、「いええええ!」と気分はロック歌手である。


「フュー 良いぞ! 近衛!」

「暴露大会! イェ!」

「アゲてこーぜ!」


 そうなんよ。俺のクラスノリが良いんよ……。こういうのすぐに乗っかるタイプしかいないんよ。


「はい! まずは守神からっ! キャモン!」


 部屋の中のボルテージは一気にMAXになってしまった。流石は修学旅行の夜。こうなる予想はなんとなくしてた。


「いや、暴露ったって……」


 なんとか誤魔化す方法を探さなければ。この場を乗り切れる何か……。


『あ、はい。大丈夫ですよ』


 突如、俺の脳内に聞き慣れた女神のボイスの有希の声がコダマする。これは天からの助け。ノアの箱舟か。この絶体絶命のピンチに、幻聴でもなんでも現れてくれる有希、ほんと好き。


 なんて勝手に1人で盛り上がっていると、クラスメイトの男子が声を上げる。


「え? これ、妖精女王ティターニアじゃん」


 その声に反応して、全員がテレビに注目する。


「まじだ。え? なに? 取材?」

「てか、私服がおそろしい程、可愛いな」


 テレビに映っているのは、見間違えるはずもない有希の姿があった。いつの間にテレビデビューしたの? と思ったが、彼女の格好は、クリスマスイヴの日にデートをした時の格好であった。


 マイクを向けられて、テレビの取材を受けている。


 そういえば、取材されてたね。


『一緒に待ち合わせを待つという企画なのですが、私達もお姉さんと一緒に待っても良いですか?』

『あー。あの有名な……。はい、大丈夫ですよ』

『ありがとうございます』


 礼を言うと、早速と彼女へ質問が飛んでくる。


『今日はクリスマスイヴですけども、彼氏さんとデートですか?』

『彼氏ではありませんけど……』


 有希は少し考え間を空けると、恥じらうように小さな声で囁くように言った。


『初恋の大好きな方を待っています』


 ……へ……?


 トクンと大きく心臓が跳ねた。


『良いですねぇ。青春ですねぇ──羨ましい──告白とか──』

『──告白は、私から告白したいと言いますか……』


 心臓が激しく蠢いて、テレビの会話が入ってこない。動悸がして息苦しい気分。でも、それは全然嫌じゃなくて。むしろ心地良い……。


『そ、や、彼氏……。あ、来ました』


 有希から振り返り、カメラに編集がされている。スローでカメラが捉えた先には


 バッチリ俺の姿が映っている。


『こちらの人が待ち合わせをしていた方ですか?』

『はい』


 有希が、俺を、初恋、大好き……。テレビ越しで……。


 頭が惚けてまともな考えが思いつかない。


「……はっ!?」


 めちゃくちゃ気になるが、今はそれよりも──。


「「「もーりーがーみー……!」」」


 殺気に満ちたクラスメイト達を見て、俺の惚けた頭は瞬時に切り替わり、危機察知能力が爆発的に上昇する。


 この場から逃げないと俺は死ぬ。そう覚悟した。


 逃げなければ!


「ちょ! まっ……!」


 しかし、思考と体はリンクしてくれない。


 運動神経は良い方だが、先の有希の言葉と、目の前の危険とが混ざり合った感情。


 尻餅をついてしまう。


 奴等は枕という凶器を持ってして狂気に満ちている。


「守神。お別れだな」

「処刑を執行する」

「最後に言い残すことはないか?」

「ヒィィ!」


 怖い、怖い、怖い!


 俺ってばホラー苦手なのよ! こんなもん怖くて夜しか寝れないわっ!


 後ずさる。


 ズリズリと、ゆっくり。部屋の出口の方へと。


 相手は頭に血が上りすぎて、逃げ口の方へと後ずさっているのがわかっていないみたいだ。


 俺、この死地を脱したら有希へ告白するんだっ!


 ズバン! と部屋の襖が開いたかと思うと、大量の男子達が枕を持ってやってくる。


「ガッデム!」


 オワタ。


「ここに守神ってのがいるって聞いたんだが!?」

「どこじゃあい! 出てこい!!」

「妖精狩りじゃ! ボケええ!」

「ちげーわ! 妖精を狩ったのは守神じゃい!」

「とりあえず」

「「「「「「処刑!!」」」」」」


 あわわわわ!


 まじで殺される。殺される……。


「しょ、しょしょ、しょしょ、しょしょ、しょごぉ……」


 助けの正吾に抱きつくように頼むと正吾はいつもみたいに爽やかに笑ってくれた。


「晃……」


 そして手を差し伸べて……。


「ラブコメ守神晃しゅじんこうの末路はこうだあああ!」

「正吾! お前もかああああああ!」


 枕を思いっきり投げられた。


 それが処刑の合図と言わんばかりに俺は袋にされてしまった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 言わなくていいとこまできちんと答えてしまっているところが天然ボケですねえ。 何人見ていたんだろう。これはもう、いよいよ待ったなし、ですかなあ。
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