表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生徒会長の秘密を知ったら専属メイドになってくれました  作者: すずと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/222

第97話 糖度が高いと酔えないらしい

「はぁ……。ジンギスカン食べ放題が……」


 どうしてこうなった。


 タクシーは大渋滞にハマってしまい、ジンギスカン食べ放題も、午後からのゲレンデにも間に合わない時間帯となってしまった。


 猫芝先生は、電話で他の先生と相談した結果、俺達だけ予定変更を余儀なくされた。


 本来の予定は。


 1日目。昼食→インストラクターによるウィンタースポーツ学習→ホテルでの夕食。

 2日目。終日ウィンタースポーツ学習。

 3日目。観光→帰宅。


 俺と有希だけ。


 1日目。昼食→観光→ホテルでの夕食。

 2日目。終日ウィンタースポーツ学習。

 3日目。観光→帰宅。


 となった。


 観光、ウィンタースポーツ、観光。


 めっちゃ観光するやん。とか思ってしまう。


 しかも、初日の昼食もジンギスカンじゃなくて、ラーメンに変わってしまったし。


 俺達がやって来たのは、北海道の県庁所在地にある有名な味噌ラーメン屋さん。コンビニのちょっと高級なカップ麺で見たことある奴の本店にやって来た。


「良いじゃないですか。ここのラーメン有名ですし」


 テーブル席に案内された俺達の席順は、俺と有希がソファー席に座らせてもらい、猫芝先生が椅子に座ってもらっている。猫芝先生は、店の壁に飾ってある有名人のサインを見て興奮している。


「私の舌を唸らせることができるか、楽しみですね」

「天一しか行ったことのないお嬢様が良く言うわ」


 答えながらも、はぁとため息が出てしまう。


「ジンギスカンの代わりがラーメンか……。そりゃ、ラーメンは好きだけどさ……。冬の北海道だし、カニとかさ……」

「カニが食べたいなら、今度ミナミのカニ食べ放題に行きましょうよ」

「地元と北海道のカニは比べ物にならんだろ」

「一緒に行かないんです?」


 上目遣いで目を潤わせている。


「誰と行くかが大事だよね。行かせていただきます」

「やた」


 小さく言ってのけると、正面に座る猫芝先生がジト目で俺達を見てくる。


「付き合ってるよね?」

「「付き合ってません」」

「息ピッタリの否定はもう相性抜群なんだよ」

「「相性は良いと思います」」

「なんなのこの2人! 先生邪魔かな?」

「「まぁ……」」

「あぁ! 学校側のミスを責めない優しい生徒だし、こっちのせいで修学旅行の予定狂って申し訳ないけど、こんな青春真っ只中の羨ま輝かしいカップルを目の前にしたら先生溶けちゃうよ」

「「カップルじゃないです」」

「ぬああ!」


 いつもは温厚で優しい猫芝先生が、珍しく頭を掻きむしって、そのまま手を挙げた。


「すみません! 生!」

「「大丈夫ですか? 昼間っから飲んで」」

「さっきからキミたちは、フュージョンでもしたの?」

「「そんなことよりも良いんですか?」」


 俺達の質問に先生はヤケにやっている。


「良いんです! 2人みたいな恋人同士を目の前にして飲まなきゃやってられないよ!」

「「恋人じゃないですよ」」

「ちくしょがあ!」




 ♢




 先生は生ビールと焼餃子のコンボで気分は居酒屋。


 こちらは有名な味噌ラーメンを堪能することにする。


 北海道の味噌ラーメンといえば、コーンとバターをトッピングして食べる味噌バターラーメンのイメージが俺にはあったけど、どうやら本物の味噌ラーメンは違うらしい。


 香ばしい味噌の香りは、炒めたのか、スープから香ばしい良い香りがする。


 麺は中太ちぢれ麺で、スープに絡みやすい麺を使用している。


 湯気が出ていないのが気になったが、底から麺を箸ですくうと、ぶわっと湯気は立ちこもる。


 寒い北海道の地域なだけに、熱々で冷めにくく工夫されているらしい。


「あちゅちゅ」


 隣で、萌え声を発して食べる有希の姿に悶えそうになる。


 目が合うと、有希が少し恥ずかしそうに言ってくる。


「晃くん。めちゃくちゃ熱いので、ふーふーして食べてくださいね」

「うん」

「ふーふーしてあげましょうか?」

「良いの?」

「はい。では、冷めても美味しくなるおまじないしてあげますね」

「そんなのもあるのか」

「では、麺をすくってください」


 言われた通りに麺をすくうと、有希は俺のすくった麺におまじないをかけてくれる。


「冷めてもおいしい、冷めてもおいしい」

「「萌え萌えキュン」」


 なんとなくノリを察したら思った通りだった。ただ、衛生上を考えて、本当に口で、ふーふーするのでがなくて、手でやってくれていた。


 萌え萌えキュンのラーメンを、ズズズと食べる。


「めちゃくちゃ美味しい♪」

「良かったです♪」


「じゃないんよ!!」


 それまで、俺達の様子を伺っていた猫芝先生が一気にビールを煽ってツッコミを入れてくる。


「バカップルがそのまま結婚したの!?」

「「違いますよ」」

「先生目の前にいるのわかってりゅ!? 普段から2人はそんな感じなの!?」

「「今日は修学旅行だから、こういうノリです」」

「どんだけ修学旅行強いねん!」


 ボンっと中ジョッキを置いてから俺達をジト目で見てくる。


「もうね。酔えないの。守神くんと大平さんが、先生の前で糖度高めのイチャイチャしているくせに、恋人でもなくて結婚もしてないとか言ってきて、私の脳みその処理じゃ追いつかないの。難解だよ。東大より難しい」

「「そんなことないですよ」」

「くそっ! こんな恋人欲しいわっ! すみません! 生追加っ!」


 先生はその後、2杯追加していたけど、全然酔えなかったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まるで二人の旅行ですが、先生がお邪魔虫。 まあこの二人に巻き込まれるとはご愁傷様、としか言いようがなさそうですがw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ