表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生徒会長の秘密を知ったら専属メイドになってくれました  作者: すずと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/222

第41話 片思いは唐突に気が付く

 一体何分くらい有希の胸の中で泣いていたのかわからない。


 ただ、夜空の月は先程よりも輝きを増しているのがわかる。

耐えていた何年分かの涙をずっと受け止めてくれていた有希に感謝をしながら、少し距離を取ると、恥ずかしくてつい誤魔化すような笑いが出てしまう。


「あはは。恥ずかしいところを見られちまったな」

「恥ずかしくなんてありません」


 有希はこんなつまらない俺だけの話しを聞いてくれて、抱いてくれて、どこまでも優しい笑みで、どこか嬉しそうな笑みだった。


「それに私は嬉しいです」

「嬉しい?」

「はい。あなたの過去が知れて」


 言うと、優しく目を細めた。


「ようやく全てが一致しました。あなたが一人暮らしをしている理由。近衛くんと異常に仲が良い理由。野球道具を捨てようとした時に辛そうな理由。久しい友人に会えるのに辛そうな理由……。その全てに壮大なあなたの過去があったのですね」


 私は……。と彼女は胸に手を置いて語ってくれる。


「私はあなたにメイド喫茶のバイトのことがバレて正直絶望しました。みんなに言いふらされて、生徒会長としても、私の憧れの夢も、全部終わったと思いました。でも、でもね。あなたは私のことを秘密にしてくれました。黙っていてくれました。内心ではすごく感謝していたのです。条件として専属メイドになって欲しいと言われましたが、もうあなたの専属メイドをやめたって、あなたは私の秘密をバラさないだろうと確信を得ています」


ですが。一呼吸置いて、俺を見つめる。


「私があなたの専属メイドをやめない理由はなんだと思いますか?」


 わからない、と言った風に首を横に振るとすぐ正解を教えてくれる。


「信用しているからです」


 ストレートな言葉が胸に刺さったが、そのまま彼女はストレートを投げ続けてくる。


「あなたと過ごした日々で、私はあなたを信用できる人だと思いました。だから、あなたに私の過去を話したし、私の家のことも話しました。あなたは私の信用できる人だから、信用できるご主人様だから」


 だから。


 有希は俺の手を握ってくれる。彼女の手は11月の冷えた空気に当たってすっかりと冷え込んでしまっていた。


「こうやって、専属メイドの手を温められるのはあなただけです。あなたしか私の手を温めることはできません」


 ですから。


「また嫉妬に狂いそうになったら、辛い過去を思い出したら、私の手を温めてください。あなたは私の特別です。月にはなれないかもしれませんが、私のご主人様なんです。甘えてください。その分、私もあなたに甘えます」

「有希……」


 握った手に力が入ってしまう。彼女の手を温めようと意識する。


 彼女なりの励ましに、ひたすらにありがとうを言った。


 俺は、後ろばかり見ていた。だから芳樹に嫉妬してしまうのだ。だから彼女は、彼女の言葉は前を向けば嫉妬することもない。前に進み続ければ良い。途中で振り返りたくなったら自分を頼って欲しいと言ってくれているんだ。今を見ろ、前へ進めと伝えてくれているのだろう。


 その意味を理解すると同時に俺は、大平有希のことが好きなのだということも理解した。




 ここで一区切りといいますか、1章といいますか、なんというかが終了です。


 次回から『片思い編』がスタートです。


 ……本当に片思いなんですかねぇ(ゲス顔)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 彼女の言葉は、単なる励ましではなく、もう告白と言ってもいいほどだとおもふ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ