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生徒会長の秘密を知ったら専属メイドになってくれました  作者: すずと


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第104話 不つり合いだからこそ、つり合いのとれる関係を目指して共に努力しよう

 上級者コースを堪能して、何回往復したかわからないリフト乗り場付近で、用を足しに行った有希を待つ。


 手持無沙汰なのでスマホで撮影した写真なり、動画を見ていると、「おい」と声をかけられる。


 振り向くと、見覚えのあるウチの学校の男子生徒が数名俺の前に立つ。


「お前さ、調子乗ってんなよ」


 こちらへ嫌悪感満載の言葉を乗せた、いきなりの挨拶に、なんのことかすぐに理解できた。


「修学旅行でなにイキってんだよ」

「陰キャのくせに、なめてっとしばくぞ」


 昨日のテレビのことを言っているのだろう。


 そりゃ、妖精女王ティターニアがどこの誰かもわからない、目立たない俺を好きだと全国ネットで放送されたのを見たら、有希に憧れを抱く男子は嫉妬するだろうよ。


 昨日、俺を処刑に来た男子は


『羨ましんだよ』

『修学旅行でカップル誕生とか、最高かよ』

『永久に幸せに爆ぜろ』


 とか、なんだかんだ、ノリノリのお祭り感覚で接してくれた。


 でも、こいつらは本気で面白くなく、なんとかして俺を陥れたというのが見える。


 しかし……。俺ってば完全になめられてるのな。そりゃ1年の頃は死んだ魚のような目で過ごしていたから、そういうレッテルが貼られてしまってもおかしくはない。第一印象が大事っていうのは、こういう場面でも生かされてくるのな。勉強になる。


 ここで反論したら火に油。言いたいことを言わして、スッキリしてもらって、どっかに行ってもらうのが得策だが。


「おい! なんか言ってみろよ!」


 ガシっと胸ぐらを掴まれてしまう。


 そりゃ、俺を陥れたくて絡んできているんだから、最悪暴力も振るうって算段もあるだろうな。


「お前ら、なにしてんだよ」


 唐突に聞こえてくる声に全員が反応する。


 スキーウェアに身を包んだ、美形の今時風を醸し出す、モテそうな男子がこちらに近寄って来る。


「船橋」


 サッカー部で、野球を侮辱していた船橋だ。


 あの試合以降、本性がバレてしまい、今ではすっかり人気は女子落ちてしまった。


 そんな堕ちたイケメンは、俺達を睨みつけている。


「お前からも言えって」

「そうだ。そうだ」


 船橋は俺の方へと寄って来ると、胸ぐらを掴んできていた男子生徒の手を払った。


「離せよ」


 意外な行動に俺も目を丸くする。


 このまま一緒になって俺を陥れようとすると思ったんだけど……。


「は? お前──」

「なにをしているのですか?」


 次に現れたのは、先程の甘い表情とは打って変わり、凛とした表情をしている有希であった。


 俺の横に立つと、先程まで胸ぐらを掴んでいた男子に、ゲレンデと同じように、冷たい視線を向けた。


「晃くんが、なにかしたのですか?」


 その視線に、少し怯む男子生徒は、なんとか口を動かした。


「な、んで、妖精女王ティターニアがこんなパッとしない奴を好きとか言ってんだよ!」

「晃くんのどこがパッとしないのですか?」

「は、は?」

「晃くんのどういうところがパッとしないのですか? 具体的にお答えください」


 冷たい視線で繰り返される質問に、男子生徒がようやくと答える。


「ふ、雰囲気とか。見た目とか。てか、こいつ陰キャだし」

「雰囲気。見た目。陰キャ。それだけですか?」

「それだけって……」


 たじろう男子生徒の代わりに後ろの男子生徒が答える。


「つり合ってねぇんだよ」

「つり合ってないとは?」

「そりゃ……」


 有希の質問に答えられない男子生徒の代わりに、他の男子生徒が答えた。


「俺らも船橋と付き合うとかなら諦めがつくけど、こんな奴だと諦められねぇよ!」

「巻き込むなや……」


 ボソッと船橋の声が聞こえてくる。確かに、その点は同情する。


「そうですか……」


 うんうんと頷いた有希は男子達を見て、より冷たい視線で言い放つ。


「要約すると、晃くんと私じゃ不つり合いだから船橋くんと付き合え。と?」

「あ、その、まぁ──」

「確かに」


 男子生徒の言葉の前に有希が被せて強く言い放つ。


「晃くんと私では不つり合いかもしれません。晃くんは私と同じ歳なのに、物凄く大きな舞台で活躍をして、でも、壁に当たってしまい、葛藤を抱き、夢を諦めかけて、それでも夢を再度描く、とても素敵でカッコいい人です。その経験のおかげで優しく紳士的で、こんな私を尊重してくれるお方です。とても偉大なお方で、憧れの人。私となど、不つり合いなのは承知の上での恋心です」

「い、いや、そっちじゃなくて……」

「私は、晃くんとつり合える人間になれるように、晃くんを支えられるように、日々努力しています」


 相手の話しなど聞く耳を持たない有希は、胸に手を置いて、男子達の言葉をかき消した。


「──い、行こうぜ」

「あ、ああ」

「きも……」


 言うことがなくなった男子達は、逃げるように去って行った。


 それを見た後に船橋も、去って行こうとするのでその背中に声をかける。


「ありがとな」


 ピタッと立ち止まると、背中越しで言って来る。


「せっかくの修学旅行を、陰キャのフンがゴミ共に暴力振るわれて連帯責任で中止になるのがイヤだっただけだ」

「口わる」

「お似合いのカップルは早くどっか消えろよ。こっちは変に巻き込まれるし、見てるだけで胸焼けするようなことするしよ。散々だわ」


 言い残して、船橋は去って行った。


「ツンデレ?」

「男のツンデレほど需要がないもんってないよな……」


 少し吐きそうになりながらも、有希を改めて見た。


「ありがとう有希。カッコ悪いところ見せちゃったな」

「とんでもないです」


 首を横に振り、大きく否定してくれる。


「あの場面で争いを抑えようと黙っていた晃くんはめちゃくちゃカッコよかったですよ」


 褒められて、ちょっと嬉しい気持ちになりながらも不安を覚える。


「ああいう連中が来るのも、俺がみっともないからだよな。自分をもっと磨いて、努力して、有希の隣に相応しい男になるよ」

「今ですら高嶺の花の晃くんが努力をしたら、私はどれほどの努力が必要なのでしょうか」


 冗談ではなく、本気で言ってきているので、手をぶんぶんと振る。


「いやいやいや。有希の方が高嶺の花なんだから、努力されたら俺の立場がないっての」

「いえいえいえ。晃くんは自分を卑下しすぎなのです。努力が必要なのは私ですよ」

「いやいやいや」

「いえいえいえ」

「いやいやいやいや」

「むぅ……」


 頬を膨らませて有希の方が折れたかと思うと、「それでは」なんて言いながら腕にしがみついてくる。


「共に努力して、誰からも認められる2人になる。ということで」


 そんなこと言われたら


「は、はい」


 もう、それ以外に答えようがない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 男のツンデレって、BL業界には存在するのかしらね。 まあ、お互い高めあう関係、ということでしょうか。それでもやっぱり学校生活を楽にするためには、彼も自分を周りに認識させる必要が出てくるんで…
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