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 フランチェスカにとって初めての敗走であり逃避行であった。壊滅した部隊でどれくらい生き残っているのか考えるだけでも恐ろしかった。そして、あの異界の者たちを防げなかった現在、次に襲われる人々の事を想うといたまれない気持ちになった。



 一行がタンネンブルグ領に入ったのは夜明け前だった。誰が言ったであろうか朝が来ない夜はないと。それと同じように最悪な事態も終わる時が来ると。でも、一行からすれば終わる時がくるとすれば、死なのかもしれない状況であった。


 「もうすこしですね、グルバード様」


 フランチェスカが振りかえると騎士の数がさらに減っていた。そして朝日が東の地平線を上りだした時、鳥の群れのようなものが見えた。しかしそれは・・・異界の者たちだった!


 「フランチェスカ様! 我々が防ぎますからあなただけでも逃げてください!」



 グルバートの絶望的な叫び声に促され。フランチェスカは馬を急がせた。彼女にとって絶望的であった。護衛の騎士すら失った聖女が安全圏に逃げれるとは思えなかった。それにタンネンブルグ領の兵士と出会ったとしても異界の者たちに立ち向かう事は出来そうもないぐらい、圧倒的な数だった。


 フランチェスカは絶望間で胸を押しつぶされそうになりながら駆け出していた。それは、しばしの執行猶予でしかなかった。

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