64 絶体絶命
血まみれで事切れてしまったセシルの身体を抱きかかえフランチェスカは号泣していた。でも、事態は急を告げていた、ここにいては危険だと。
「ごめんなさい、セシルさん」
セシルの亡骸を丁寧に置くと、フランチェスカは騎士たちを呼びに行った。でも、誰もいなくなっていた。そのとき、恐ろしい瘴気を感じた。
「これって? まずい!」
それは異界の者でも高位の戦闘種が放つ禍々しいものであった。今いるところは奴らの陣地と一緒だった。急いでフランチェスカは聖女の剣を握りしめていた。すると、夥しい数のモンスターが出現した。その中には騎士のなれの果てのようなものもいるのが分かった。
「誰かいないの?」
フランチェスカは自分の未熟さが嫌になっていた。気が付かないうちに浸食されていたことが分からなかった。そして絶体絶命に陥っていた。もう護衛してくれる者もいないようだ。この時、残されていた道は二つだった。最期まで闘うか、イチかバチか逃亡を図るかだ。この時点では守るべき者がいないので、彼女は逃げる事にした。破魔の聖女とはいえ、仲間がいない聖女は多少魔力が使える少女でしかなかった。
「とりあえず、馬に乗っていこう。たしか近くにタンネンブルク伯の城があるから、そこまでいけば何とかなるかも」
たが、彼女はそこにも辿り着くことはなかった。




