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62 セシル

 セシルは15歳だった。もし順調なら春にも聖女として認められるはずだった。聖女は素質があると認められたら養成学校に入り、ついで齢の誓い聖女の元で見習いとして活動しなければならなかった。その間に不適と判断されはずされる者も多いので、セシルはそれなりに期待されていた。


 フランチェスカに指示されてセシルは脱出準備をし始めた。計画では南部に派遣された聖女騎士団と合流するのは諦め、聖女騎士団本部のある王都に撤退することにしていた。数十人しか残っていないから立て直すしかなかった。王都に戻ればなんとかなるはずだった。周辺諸国から援軍を得たうえで対処するはずだった。そうしなければ、この世界の人間は消えてしまうから。


 こんな時に騎士団長のアベルがいない事が残念でしかたないとセシルは思っていた。アベルの双子で、姉は聖女だったから。だからアベルも本来は聖女並みの魔力を持っており、聖女の武器を使いこなせるのだ。だから女ならフランチェスカを凌駕する聖女の能力はあった。あの危機的な場面でもなんとかなったかもしれない。そう考えていた時の事だった。マジャールが寝かされている部屋から悲鳴が上がった。


 「何事?」


 セシルが目にしたのはゾッとする光景だった。皮だけになった遺骸があった。その遺骸は中身が抜かれたような抜け殻になっていた。


 「これって、まさか?」


 その皮には見覚えのある刺青があった。マジャールが自慢していたものだ。


 「は、はやく知らせなければ!」


 セシルがそういって駆け出した時の事だ。思い切り全身に衝撃を受けた。彼女は自分の全身の骨が砕ける感覚に襲われた。これって、私死ぬの? 

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