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 聖女騎士団は騎士団長アベルの下に三人の副騎士団長がいた。三人いるのは、作戦によって別働体を編成したり、何らかの理由で騎士団長が任務遂行不可能になった時に代行するためであった。


 東部派遣軍を指揮していた第二副騎士団長マジャールはアベルよりも20も年上だった。本来はアベルよりも先に騎士団長になれる可能性があったが、諸般の事情のため今の地位にあった。それを人々は面白くないだろう人事に不満があるだろうと噂を立てていた。


 「あの副騎士団長、すごく血の匂いがしたのよ、それになんだか人が違う気がするわ」


 フランチェスカは横になってからも考えていた。何かが違うと。


 「そんなのことないと思います、と言いたいけど私も感じますわ」


 セシルもそう言った。彼女も聖女としての素質が何かを訴えているような気がしていた。


 「そう? 気のせいでなくてよかった。実は、あのマジャールって人外見は同じだけど中身が違う気がするわ。もしかすると魂を抜かれているかも」



 「魂? それって? なに?」


  セシルは聞き返していたが、フランチェスカは何を言いたいのか何となく気が付いていた。


 「魂移しの術を掛けられているわ。先輩の聖女から聞いたことがあるのだけど、異界の門から出現するモンスターの中には外見をそのままに中身を入れ替えるのがいるそうよ」


 「魂移し? まさか?」


 セシルの頭の中に最悪な事態が浮き沈みし始めていた。

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