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魔方陣の崩壊は第三騎士団長が率いる聖女騎士団の全滅を意味していた。それを目撃した残り少なくなった兵士は大きな衝撃を受けたが、各自は自分たちで生き残るための戦いを行うしかなかった。
「副騎士団長はどこにいったか?」
「わからないが、さっき出現したデカい奴の方にいたはずだ! 見当もつかねえ!」
そう話す騎兵の横にさっき魔方陣から脱出したフランチェスカらを乗せた馬車が突き抜けていった。
「おい! 聖女様が乗られているのか?」
「そうだ!」
「じゃあ、護衛する! いいだろ!」
「頼む! 助かるぜ!」
その会話を車両の中でフランチェスカは沈んだ気持ちで聞いていた。一体何をすればよかったのかを自問していた。
「フランチェスカ様、お気をしっかりお持ちください!」
セシルは努めて明るくしようとしていたが、身体は痙攣していた。周囲では今も数多くの兵士が散華していた、いや異界の者たちと同化し異形の姿に変えられていた。
「とりあえず、モスールの要塞を目指しましょう。あそこは後方支援の拠点ですから、脱出した兵たちが合流してくるはずです。そこで立ちなおしましょう」
車両にいた一緒に派遣されていた将校の提案通りにすることにした。しばらくすると戦場を離脱した兵士たちと一緒に行動してくれた。
「ほかの聖女様と連絡が取れたらいいけど」
フランチェスカは車両の後ろの窓を覗いた。先ほどまでいたところは猛烈な光に包まれていた。このとき彼女はしらなかった。自分たちは異界の者たちの策略にはまっていることに。




