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49 予兆

 セシルは不安そうな表情をしていた。聖女見習いになって日数はあまりたっていないが、青い炎を見つめるフランチェスカのそのような表情は初めて見るものであったからだ。それまで穏やかで天然な笑みを浮かべていたというのにである。それに聖女の業務以外ではどっちかといえばドジな面ばかり見ていたし。


 「どうされたのですか?」


 「漠然なものといえばいいのかしら? 今までにない瘴気が噴出する予兆みたいなものかしら。はっきり説明できないのがもどかしいけど。私の身体に宿る聖女のなにかが訴えているのよ。それが何なのか・・・」


 彼女が動揺しているのを見てセシルも何かしらの気配を感じていた。その時、夕暮れが平原に迫っていた。その夕焼けは血のように赤くどす黒くも見えた。まるで、空と大地が何かしらの警告をだしているかのように。


 「わたくしも・・・感じますわフランチェスカ様」


 「セシルも? どんなふうに?」


 「説明できないけど、空気が薄くなっているような・・・」


 目の前では炎の中からジコクマッウスの小さい断末魔のささやきが聞こえていた。青い炎で浄化しているが、それは異界の生命の炎でもあった。鉄をも溶かす程の高温が生じていた。本来なら物凄い高温を発するはずなのに周囲の気温が下がっていた。


 「フランチェスカ様。気温が急激に下がっております。早く中に入ってください」


 騎士の誰かの声が聞こえてきた。どうも急激に気温が下がっている様だった。やっぱり、日が落ちたから? しかし、急激な下がり方であった。いくら冬の終わりだとしても異常なまでに。それは予兆であった、今までにない異界からの軍団が出現する・・・


 


 

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