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46 伝書鳥
アベルはこの北部戦線にいる兵力のうち、当地の治安維持に必要な者を残し、主力を移動する事を決意した。大攻勢が起きる可能性があるとすれば、全く被害が出ていない東部戦線かもしれなかった。
「とにかく、伝書鳥を用意しろ!」
伝書鳥は知能が高く、飛行能力も高いので任意の場所に通信文を届ける事が出来るので、各部隊が使っていた。この大陸内なら一日で往復できる能力があった。人と同じぐらいの大きさがあり、場合によっては荷物すら送る届ける事も出来た。
「騎士団長! 大変です。嵐が起きました!」
冬が終わろうとするこの時期、北の海岸には強い北風が吹きこんでくるものだが、経験のないほど激しいものに襲われていた。これでは伝書鳥による通信は不可能だ。さらにいえば、あちらこちらに分散している部隊を集結させるもの無理だった。
「これはいったい?」
部下の言葉にアベルは焦っていた。少し遅かったんだと。おそらく敵は手薄な東部戦線に大規模な攻勢をかけるはずだった。このとき、アベルの脳裏にフランチェスカの姿が浮かんでいた。
「フランチェスカ様! どうかご無事で!」
だが、無情にも彼女はその直後、魂と身体が引きはがされる悲劇に見舞われることとなっていた。




