42 南部戦線
そのころ南部に派遣されていた第二騎士団は予想外の出来事に遭遇していた。予測よりも早くそして数多くの異界の門が出現していた。ただ、規模は小さく出現する異界の者たちは多くなかった。それでも、数が多いと対処に人出を割かれてしまい、右往左往する羽目になった。
第二騎士団が守っていた聖女はマリーといい、経験値もフランチェスカよりもずっと高かった。なので、出現する異界の者たちを問題なく対処出来ていた。しかし、それは持久戦の様相を呈していた。
「サリー様、きりがありません」
副騎士団長のウォルフガングは疲労の色を濃くしていた。いくら弱い敵でも数が多いと、聖女も騎士も兵士も疲弊していくしかなかった。それに、早く撃破しなければ、北部ないし東部に派遣されている聖女たちと合流できない。
「確かにそうですわね。ところで南隣の諸国も同じ状況のようだそうですね」
「はい、そのようです。もしかすると、これって?」
サリーもウォルフガングも気づいていた。普通なら存在するはずの者がいない事に。
「いつもなら、これほどの規模の異界の門なら主導している竜魔がいるはずよ、それらしきものはいないという事は・・・他の二か所に出現しているかも?」
「その可能性ありです! 他に派遣された部隊からの報告はまだです。もうじき来るはずですが」
「報告ないか・・・移動させなければならないわ。北部へは三日、東部には四日かかるけど、伝書鳩部隊はどうしているのよ」
サリーはいらだっていたが、実際それは陽動であった。期せずして主力の分散をした聖女騎士団は史上最悪の危機を招いていた。




