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40 不安

 フランチェスカの記憶は七歳よりも前は全くなかった。ただ覚えているのはアベルの大きな手だ。異界の門による混乱直後に保護してもらった。当時のアベルは騎士団の小隊長だった。そのあと孤児院に預けられた後、聖女の素質を見出され名門貴族であるソフィア家の養女になった。それでもアベルは父親みたいな存在だった。本当はアベルの養女になりたかったが、アベルは独身(妻とは死別)であるため叶わなかった。


 フランチェスカは東部に予想される異界の門出現予想地点に向かったのは、アベルが出発してから一日後であった。


 「なに不安な顔をされているのですか、フランチェスカ様」


 フランチェスカ付きの聖女見習いのセシルが気になっていた。いつも異界との戦いの前には気が張り詰めているものであるが、今回は空気感が違っていた。不安な感情であふれていた。


 「だ、大丈夫よ。たぶん・・・」


 「あー、アベル様が付いてくれないからですか?」


 「い、いや。そうじゃなくて、なんかこっちの方が瘴気が強いような気がするのよ。でも、はっきりしなくて」


 フランチェスカはそれが何かが分からなかった。ただ、今回の戦いは相当厳しそうな予感がしていた。もしかすると、死ぬかもしれないと不安な気持ちになっていた。




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