37 采配
この世界では自然災害のもっとも酷いものが異界の門から湧き出す禍であった。だから戦争状態にある陣営同士であっても、協力するのが世界のルールであった。そのため、一部の軍が数日前に隣国の要請で出発していた。たから、現有勢力に不足があった。
「参謀長、全ての出現地に正規の部隊を派遣するのは無理です」
統合参謀会議は議論が紛糾していた。この異界の門がやっかいなのは、出現は数日前から数時間前に予想は出来ても、そこから出現する禍の規模は予測困難なことだ。従来のデータの蓄積によって傾向が見いだせなかったのだ。だから、複数出現する場合はどちらに主力を投入するかを経験と勘で判断するしかなかった。
「聖女ターチャ、ある程度の規模の予測はできないか?」
政府閣僚の一人が質問したが、彼女は首を振るだけだった。
「残念ですが無理です。複数が近い地点に出るのは分かったのですが、そのうちの・・・おそらく半分は陽動だと思います。ただ、大きく分けて三つのグループに分かれるようなので」
三つ! その言葉に参謀総長はある采配の仕方を思い付いた。
「そうだな、三等分にしよう。編成は騎士団長のアベルに任せたいところだが、わしがしよう」
そういうと、紙に部隊長と聖女の名前を書いて適当に決めてしまった。
「それじゃあ、騎士団長は北部に第一副団長は南部に、そして第二副団長は東部に進軍するように。では各自準備せよ」
その時は分からなかった事であるが、東部の異界の門が最大勢力であり、他の二つはダミーであった。だが、不幸な事に第二副団長が率いた聖女騎士団は最も脆弱だった。たとえフランチェスカがいたとしても・・・




