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36 招集

 聖女や騎士も非番というなの休暇はあった。しかし、全て取り消しになる場合があった。異界の門が開くのを察知された時だ。その時は、可能な限り全員が所属するところに招集を受ける。


 その日は夜も押し迫った日付が変わる直前に、住民全ての安眠を打ち破るように激しく鐘が打ち鳴らされた。宿舎にいたアベルはすぐ招集場所に行った。そこには異界の門の出現を監視している聖女ターリャが青ざめた顔をしていた。

 

 「聖女ターリャ様。どうされたのですか? あなたらしくないですが」


 「アベル殿、いままで異界の門が同時に開いたことはあるのをご存じですか?」


 「たしか・・・先代の騎士団長が若い時に三つ開いたなんていっていましたから、三十年前だったはずですが。そう言えば、最近二つ同時というのが多いですが、今回はもしかすると三つですか?」


 「三つならいいが・・・様々な数値からすると、周辺諸国と合わせると10個以上出現する可能性がある!」


 「10個? まさか?」


 異界の門は、別の異世界から接続される空間の穴であり、人がやっと通れるぐらいのものから、人の身長の数十倍の高さがあるものまで様々なサイズがあった。どうして異世界からこの世界に繋がるのかの理由ははっきりしないが、自然現象によるものなら大抵は小さく再び閉じるまで結界を張りながら監視すればいいが、大きいものは竜魔のような高等モンスターによる襲撃が高度の頻度で発生していた。


 「10個なんてありえないではないか? 何かの間違いじゃないですか?」


 「馬鹿にしないでもらいたいな。確かじゃ! でも、規模までは分からない。もしかすると複数の旋毛風のようかもしれないが、可能性から言えばいくつかは囮かもしれん」


 「囮? それじゃあ、どれに兵と聖女を割けばいいのかわからん」


 アベルの聖女騎士団は破魔の聖女が技を繰り出す合間に無防備になるので、守る任務があった。基本的には数人の聖女と騎士を中心とした兵士1000人で行動していた。現在、騎士団に所属するのは5000人と聖女20人なので、最大限に分割しても五分割前後である。だから全ての出現ポイントに通常編成の破魔の聖女を派遣するのは難しかった。


 「それであるが、全聖女が集まったところで決定することになるはずだ、アベル」


 ターニャが向かった先は、統合参謀本部がある王宮の一角であった。そこには、慌ただしく入っていく人影が見えていた。事態は急を要していた。

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