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この世界の聖女には様々な職種があった。攻撃に防御そして浄化なのである。聖女に選ばれるのは国によっては数百人単位になる事もあった。
そんな聖女のなかでも攻撃に特化した破魔の聖女の一人がフランチェスカであった。15歳の時に聖女に選ばれたが、それまでは孤児院で生活していた。聖女の才能を見出され、数多くの聖女を輩出してきたソフィア家の養女となってから才能を開花させていた。特に竜魔と呼ばれる異界からの高等知能を持つ侵略者に対し、無慈悲ともいわれるほど完膚なきまで殲滅していた。
だが普段のフランチェスカは天然といわれるほど変わった聖女だった。孤児院で相当質素な生活をしていたためか、ある程度贅沢な生活を保証されているというのに、いつも質素な服を着ていた。だから聖女としての務めがない時は、使用人に間違われるほどだった。
「フランチェスカ様、その食料をどうされるのですか?」
騎士団長のアベルが聞いたことがあった。その食料は任務成功のご褒美に貰った高級食材だった。
「孤児院にいるおチビちゃんに食べさせてあげようと思ってね。今日は非番でしょ! だからね」
「そうでしたが、くれぐれも気を付けてください。あの孤児院のある地区は治安が悪いのでお供いたします」
「お手数をおかけいたします」
そんな聖女としておごらないところが、フランチェスカにはあった。




