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その時議場の扉は全て開け放たれていた。議事の見学希望者が殺到し、外の聴衆にも聞こえるようにするためだ。その場にいた者すべてがフランチェスカの発言に注目していた。
「みなさん、はじめまして私がフランチェスカ・ソフィアです。三か月前まで破魔の聖女の一人でした。しかし、三か月前に異界の者たちとの戦いの際、不覚にもこの身体を奪われました。そして異界からの侵奪行為にこの姿を使われました。その時、僅かに意識はあったのです。そんなことをしてはいけないと!
最後に記憶しているのは聖女騎士団長のアベル様と戦っていた時までです。そのあとの事は一切覚えておりません。気が付いた時は修道院近くの牧場の麦藁の中でした」
フランチェスカの言葉に対し、多くの議員から質問したいという挙手が上がった。聞きたいことは沢山あるようだった。議長は誰を指名するか迷ってしまうほどだった。当然、聴衆も聞きたいことが多くあるようであった。
「フランチェスカさん。分かっているかもしれないが、ここムリージョに住む者たちは不安なんだ。原因はもちろん異界の門が開いて大きな竜害が起きたと分かってはいる。しかし、いまはどうなっているのか? これからどうなるのか? それらすべてが分からないわけだ。そこで、長くなるかもしれないが、異界の門が開く直前から覚えているまでの事で、いいから詳しく話してもらいたいが、よろしいか?」
ジャッケルフォード議長の提案にフランチェスカは全てを話した。何が起きていたのかについて。




