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 シモーネの術によってアベルの魂の意識を保持したまま、フランチェスカとして活動できるように精神が調整されていた。二人分の記憶を持ったまま生きていけるのは、アベルが騎士団長を任されるほど精神が強かったからにほかならない。姉の前以外ではフランチェスカの疑似人格(彼女本来の魂の所在が行方不明であるため完全に再現できなかった)で振舞うようになっていた。


 とりあえず、シモーネはアベルの魂が宿っているのを伏せていた。説明するのが難しいし、なにより中年男の魂が聖女を務めていた少女に宿っているなんて、ドン引きされるに違いなかったからだ。


 フランチェスカは修道服のフードをはずした。そこに現れたのは美しい金髪で白い肌の美少女だった。また聖女の証である瞳の色が赤色であった。それには議場にいたほぼすべての人々が固唾を飲んだ。ここに王国いや世界随一の聖女がいることに。ジャッケルフォード議長はしばし唖然としていたが、仕切り直ししなくてはならないという表情になって議事を再開した。


 「聖女フランチェスカ。あなたについてのお噂は聞いております。素晴らしいご活躍をされていたそうですね。しかし、あの三か月前に起きた異界の門が大量に開いた直後に反乱を起こしたと聞いています。その、あなたが何故ここにいるのか、説明していただきたい」


 聖女が反乱を起こしていた。それは、ここ辺境の地に一部だけ伝わっていた、事実であった。その反乱を起こしたフランチェスカとの戦いでアベルは身体を奪われたのだから。そう質問された彼女の顔が険しくなった。

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