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「シモーネ様、アベルはあなたの弟でしたね? なにか聞いておりませんか?」
「いいえ、なにも」
シモーネは咄嗟にウソをついた。まだ情報がはっきりしないうちに、まさかアベルの魂というか意識だけここにあるとは言えなかった。
「ざっと読んだのですが・・・この官報の発行日は一か月も前です。ですので今の状況はどうなっているのかわからないので・・・どうすればいいのでしょうか?」
村長はそういったが、ここは辺境。地政学的に見てもあまり重要性がないので、半ば独立した地域になっている。特筆するような鉱物資源もないし、人口も少ない。だから王国政府から指図されることは滅多になかった。一定の上納金を収めればいいので、王国政府の体制が多少変わっても問題ないはずだった。
「とりあえず、行政官から知らせがあると思います、それまで準備しておきましょう」
そういってシモーネは村長に帰ってもらった。その間、フランチェスカは置いてきぼり状態だった。元の身体が征服者になったなんてと、放心状態だった。
「とりあえず・・・今からフランチェスカちゃんと呼ばせてね。とりあえずは・・・身体を綺麗にしなくちゃね」
あまりの可愛らしい態度にフランチェスカ(アベル)は思い出した。姉が百合百合の傾向にある事に。




