15 着替え
この世界の聖女の役割は人々の為に祈ることと、異界からの侵入者たちと戦う事である。後者の場合、能力が高い処女の娘が担う。これは遥か昔から伝わる聖武具を扱う事で最大限の能力を発揮できるためだ。そんな聖者としてフランチェスカは歴代随一であった。
一方のシモーネといえば、在任当時に大きな異界からの災難が起きなかったので、これといった実績はなく、正当な評価がされないと嘆いていたほどだ。
「ねえ、本当に聖武具を何も持っていないね」
フランチェスカの着ていたものを床に広げ確認していた。戦場に赴く聖女は小さな武器庫と揶揄されるぐらい、小さなものを幾つももっているはずだった。しかし、髪飾りの類すらなかった。
「それを言われても困ります、気が付いた時にの姿のままですから」
「そうそう、これを着て頂戴! 修道女の制服だけど」
修道院長のソファーの上に用意された着替えはシモーネが使っているものだ。
「なんか、はずかしい・・・」
心は男のフランチェスカは戸惑っていた。死に別れたが昔妻がいたので、女が着替えるのは気にならなかったが、いざ自分が着るとなると躊躇してしまった。
「はい、はい、しかたないわよ! それなら村の女から借りてこようか?」
「それは、やめて! 着替えるから」
フランチェスカは恥じらいながら修道女の衣装の袖を通し始めた。




