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この世界を異界の門から飛び出してくる災害はありとあらゆるものがある。瘴気のように聖女の霊力ないし妖力で跳ね返す事ができるもののあるが、異界の生物の場合は聖女だけでなく騎士団や歩兵隊と共同活動をしなければ撃退できない。
アベルは聖女隷下の騎士団を束ねていたが、今の彼の魂は聖女フランチェスカの身体に宿っていた。では、アベルの身体とフランチェスカの魂はどこに行ったというのだろう?
「あなたが見たという聖女の身体を奪った竜族だけど、おそらく二人の強大な能力を同時に奪ったようね。だって、いまのあなたに聖女や勇者の力はほぼ無くなっているわね」
シモーネはフランチェスカの手を取って確認していた。シモーネは聖女は引退していても現役当時の能力は衰えていなかった。そんな能力の一つがいわゆるチート能力の判定であった。
「無いって? それじゃあ、いまの私はただの少女?」
「ただの少女ではないわ。少し残っている様ね、簡単に言えば伸びしろのある能力かしら? もしかすると、わざと残したのかもしれないね。意図はわからないけど」
「それじゃあ・・・あいつと戦えるか? 元の身体に戻れるかしら?」
そのとき、フランチェスカは自分の身体から血と汗と脂の匂いによって部屋が臭くなっている事に気付いた。
「姉ちゃん、ごめん。着替えないかな?」
「あるわよ! 女の子の服を用意するからね」
フランチェスカは不満そうな顔をした。




