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13 魂移し
フランチェスカの身体の中に入ってしまったアベルは自分の心が急速に女性化していることに気付いた。どうも女性の魂に変わり始めている様だった。
「とりあえず、アベル。あなたが男のように振舞わないように術をかけたわよ。噂ではアベルは武勲をあげ国王陛下によって軍務尚書に任命されたとなっているのよ。でも、その直後から情報が遮断されたのよ。どうも、この辺りは切り離されたかのように。いったい、何が起きたの?」
シモーネの言葉のなかで、武勲や軍務尚書などありえない言葉があった。あの時、竜族に何かされた後の事は分からなかった。とりあえず戦場で起きた出来事を話すと、何か思い出したかのように首の後ろの髪をかき上げた。そこには一度切り刻んだような傷があった。
「やっぱりね。あなた魂移しの術を掛けられているわ。ごく一部の、たしか高級竜族しか使わないやつね。たぶん、フランチェスカ様の魂が先にとられ、なんらかの理由で今度はあなたの身体に移ったようだね」
シモーネはそういって書棚から一冊の本を出し頁を開いた。そこには魂移しの事が書かれていた。
「じゃあ、私は・・・それにしてもフランチェスカ様は何処に?」
「もしかすると、どこかの身体の中で生きているかも。この術はすぐに元の身体の魂を殺すと、効力がなくなるみたいだから」




