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12 姉弟
シモーネとアベルは双子として生を受けた。両親は辺境の地に住む下級貴族であったが、領地を持たないうえに、職務をこなすことで俸禄を貰える立場であったので、それほど裕福ではなかった。15歳の時にアベルは騎士団に入りシモーネは聖女の才能を見出され召し出された。
シモーネが聖女を務めていた10年間は、異界の門が開くのは稀で、目立った活躍をすることはなかった。おかげで無用の長物とまで揶揄された。また性格に難があるとの噂があり、そのせいか引退した歴代の聖女のように王族ないし上級貴族からの求愛を受ける事もなく、いくつかあった縁談も断って修道院に入ったのは15年前の事だった。そして、自分の意思で生まれ故郷のこの地の修道院長として赴任した。元聖女としては相当冷遇されているといわれていた。
修道院に入ると、シモーネは何人かいる修道女に外出するように促した。人払いしたわけだ。そして修道院長室に入ると入り口のカギを閉め、窓のカーテンを引いて外から見えないようにした。
「とりあえず、これでよし! あなたアベルでしょ! いつから騎士は聖女の身体を奪い事が出来るようになったんだよ!」
シモーネの顔は恐ろしかった。それは悪い事を仕出かした弟をしかりつける姉の顔だった。




