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10 村長の話
村長のフランクは中央で異変が起きているのを知っていた。その詳細は三か月経過したいまも辺境の地では分からないが、異界の門が複数同時に開き大変な状況だという。幸いな事にこの地に悪い影響は今のところないが、以前にもまして外部からの交流が無くなっていた。でも、断片的な情報はあった。
「確かな事はわからないが、なんでもフランチェスカという聖女が竜族に憑依され反逆したそうだ。それを、なんとか鎮圧したそうだ」
鎮圧? 彼女の頭では意味が分からなかった。あの時、竜族に対し圧倒的に不利だったのは間違いないのに、どうやって抑えたのだろうかと。
「そうなんですか。わたし何も知らないのです」
「はあ? ほんとか? じゃあ、あんたは何していたのか?」
村長は間合いを狭めてきた。そしてまじまじと娘の服を見た。
「あんまり見つめないでください! はずかしい!」
「すまん! しかし、何故血まみれなのか、その服! 普通ならおかしいと思うだろ!」
「そうですが・・・私も分からないです。気が付いたらここにいて・・・」
「まさか、あんた、記憶喪失なのか?」
「そんなところです・・・」
とりあえずフランチェスカはそういう事にした。自分でさえ身体が変わった事に戸惑っているのに、他の人に説明なんかできなかった。




