92話 魔法の特訓
「カミラ魔法教えて」
「カミラさん。お邪魔します。」
俺は自室に戻りカミラを見つけるとすぐに言った。
「ル…デニスちゃん、帰ってきたら最初はただいまでしょ。しかもいきなりそんなこと言われてもあとレットちゃんは遠慮なくゆっくりして行ってね」
俺が脈絡もなく言ったためカミラが混乱している。
それに図書室に一度戻ってから自室に真っ直ぐ戻ってきたためレットが一緒だ。
レットが一緒のため俺のことはデニス呼びだ。
俺がなんと説明しようか悩んでいると変わりにレットが説明し出した。
「今年から魔法の授業が始まるんだけどデニスさんは魔法に自身がないらしいので予習したいみたい」
レットが説明してくれたので俺の頷くだけしておく、
「あー確かにデニスちゃんは魔法全く出来ないからね」
カミラは遠い目をしながら言う。
カミラは前世で俺が全く魔法が使えなかったのを知っている。
最近も俺がカミラの場所を調べる魔法の訓練をしているのだが全く出来ない。
そのことをカミラは思い出しているのだろう。
「レットちゃんはともかくデニスちゃんに教えるのか、ちょっと大変だね」
カミラは俺のことを可哀想なな子を見る目で見てくる。
「お願いしますカミラ様。このままだと授業についていけなくなるかもしれないんです。お願いします。」
しかし引き下がるわけには行かない。どうにかしてカミラに教えてもらわなくては。
「はいはい、ならデニスちゃんはなんの魔法を覚えたいの」
「・・・・・カミラのおすすめで」
カミラに言われて俺は何にも考えてなかったのことを改めて思い出した。
「私のおすすめは契約している精霊の場所を特定する魔法だよ。一番簡単な魔法なんだから」
「それ以外で」
カミラがおすすめした魔法をすぐに否定する。
その魔法は何度も挑戦して未だに成功したことがない魔法だ。
「うーんじゃ身体強化の魔法がいい」
俺の前世では何度も練習した魔法だ。
前世では全く出来なかったが今ならできるかもしれない。
「デニスちゃん本当に言ってる?」
「デニスさん本当に言ってるの?」
俺が言うとカミラとレットの両方に呆れられた。
「なんで二人とも呆れているの」
「デニスさんにはカミラさんがいるんだから、覚えなくていいよね」
俺は言われて確かに今世ではカミラがいるから身体強化の魔法を覚える必要がない
「仕方ない、なら部屋の中でも簡単にできる水魔法にしようか」
カミラに言われて俺はその魔法を覚えることにした。
「うーん出来ない」
それからしばらく練習をしたのだが俺は全く出来る気がしなかった。
「本当にデニスちゃんは全く魔法が使えないね」
教えているカミラは俺の上達しなさに呆れている。
「デニスちゃん見てみて」
俺が苦戦しているのだがレットは簡単に覚えてしまった。
今は魔力量を調整して大きさや形を変えて遊んでいる。
「レットちゃん凄いすごいもうそこまで極めたんだね」
レットは俺に比べて魔法の才能があるようで簡単にこなしている。
「んーもう一回」
俺はそう言うと先ほどカミラに言われて通りにしてみた。
手のひらに魔力を集めて、使いたい魔法をイメージする。
本来はこれで出来るはずなのだがそれでも出来ない。
「うーんイメージが足りないのかな。ちょっと待ってて」
カミラはそう言うとどこかに行ってしまった。
少しするとカミラは水をコップに入れて持ってきた。
「この水をイメージしながらやってみて」
確かにこれなら水のイメージができる。
俺は水を見ながらもう一度魔法を使う。
しかし先ほどと同じように魔法を使うことが出来ない。
「んーやっぱりダメか」
それでも魔法を使えない。
カミラもいい方法を思いつかないようで二人して考える。
その日はレットの魔法が上達しただけで終わった。
デニスは魔法を使えるようになるのでしょうか




