91話 図書室と本
「あれテオなんでいるの」
俺とレットが図書室に入るとテオがいた。
最近レットはテオくんのことをテオと呼んでいる。
テオくんもレットのことをレットと呼び捨てにしている。
二人はいつも喧嘩をしているが喧嘩するほど仲良くなってしまい俺が気づいた時には二人はレットテオと呼び捨てで呼び合っていた。
「あれデニスとレットじゃねえか、レットが図書室に来るなんて似合わないな」
テオくんは本を何冊か持っているためなにか調べ物をしに来たのだろう。
テオくんはニヤニヤしながらレットをバカにするように言う。
本当に二人は仲良くなったものだ。
「はー私だって図書室に来るし、これでも頭はいい方だし。それにテオだって図書室にいるなんて変じゃない。頭悪いんだから」
テオくんの言葉に反論をするレット。
おそらくテオくんの言い方に頭が来たのだろう。
しかしレットは何も考えずに反論しているのだろう。かなり大きな声で二人は話だした。
二人の話し声は静かな図書室内で注目を浴びる。
しかしテオくんはともかくレットはお姫様のため注意をする人がいない。
「ほらテオくん・レット図書室では静かにでしょ。そんな大きな声で話したら迷惑だよ」
仕方なく俺が注意する。
この場で注意できる人は俺しかいない。
「「はいごめんなさい」
俺が注意すると途端に二人は静かになる。
相変わらず二人は仲がいいな。
「テオくんも目的があってきてるんでしょ。レットと私は本を借りれればそれでいいからまたね」
「あ、まってデニス俺もこの本があればいいから一緒に行くよ」
テオくんも本を借りることが目的だったようで俺たちと帰るようだ。
俺は魔法に関する本を借りていつも使っている広場に向かうことにした。
流石に部屋で魔法の練習は出来ない。
「そういえばテオくんはなんで図書室にいたの」
広場に向かいながらテオくんに聞く。
テオくんはどちらかというと体を動かす方が好きで勉強はあまり好きじゃない。
なのに本を借りにいくのはなんだか意外だ。
「あー去年から強くなろうと思ってとりあえず体を鍛えてたけどそれでもデニスよりもだいぶん弱いだろ」
テオくんが言っているのは毎朝している模擬戦のことだ。
模擬戦の際いつも俺はテオくんのことを圧倒している。
そのことを気にしているのかもしれない
「それで俺には知識が足りないのかと思って、俺強くならないと行けないんだ」
確かにテオくんは知識が足りない。
でもそれは年相応な気がする。
俺が前世の知識があるぶん圧倒しているだけだ。
「ふーん、でどんな本を借りたの」
俺が聞くとテオくんは借りてきた本を二冊貸してくれる。
「うーんダメだね」
借りてきた本を見た俺はダメ出しをした。
「な、なんで」
俺の反応を聞いたテオくんは驚いている。
「まずこの本かなり上級のものだからね。まだまだテオくんは基礎が出来ていないからもっと初心者のものからしっかり学ばないと」
テオくんが持っていたのは上級と書いてあった。
「でも俺は早く強くならないと」
テオくんは去年の事件のせいでいつも強くなりたいと言っていた。
「強くなるのに近道なんてないからゆっくりね」
基本的にテオくんは俺の言ういことを素直に聞いてくれる。
今回も俺の言うことを聞いて納得してくれたようだ。
「それでデニスはなんの本を借りたの」
テオくんは借りてきた本をバックに入れる。
「私は魔法が苦手だから魔法の勉強をしようと思って」
俺はそういうと借りてきた本を出した。
「デニスさっき俺に言ったこと覚えてる?」
俺が出した本を見るとかなり難易度が高いものだ。
俺はさっき自分が言ったことを思い出し、俺は恥ずかしくなって本をカバンに戻す。
「今から図書室に行こうか」
俺が言うとテオくんは頷き俺とテオくんは二人揃って図書室に戻った。
俺たちの話を後ろで聞いていたレットは途中から大爆笑していた。




