88話 二人の話し合い②
「だいたいなんで私と再会した時いつもみたいに接してくれなかったの」
カミラのお説教はまだまだ続いた。
「それはカミラに正体がバレると思ったから」
再会してすぐに聖女様と言ってしまったら俺の前世がバレてしまうかも知れない。
内緒にすると決めた以上カミラとは初対面だと偽るしかなかった。
「違うその時じゃないもっと前!私が聖女でルークが騎士として再会した時」
カミラに言われてやっといつのことか分かった。
「あの時は先輩にカミラは聖女だから親しげに接するなと言われたから」
あの時先輩にどう言われたか忘れてしまったがカミラは一人の聖女として扱うように言われた。
俺はそのことを守っただけなのだが
「確かに偉い人にはそう言われたけど私と二人の時に昔のように私には接するように言ったらそれはできないって言ったじゃない。何度も何度もお願いしてもできないとばかり言われてどれだけ辛かったかわかる」
カミラは最初は語るように言っていたが気が付いたら感情が爆発したように話だした。
「だから今からルークは私の騎士じゃない。一人の友達になってもらいます。いいですね」
俺はカミラに言われて「わかりました。」と頷くしかなかった。
「ごめん今の貴方は病気で辛いはずなのにこんなこと言ってしまって。これからは私といるときは全く気を張らずっていうのは無理かも知れないけど、少しずつ打ち解けていこうね」
そういうとカミラは俺を寝かせる。
俺はカミラに正体がバレるかも知れない。もしバレたから殺されるかも知れないという不安がなくなり久しぶりにゆっくり眠ることができる気がした。
目を覚ますと外の景色は少し暗くなっていた。
俺は驚いて起き上がる。
俺は気がついたらこんなに長い時間寝ていたのか
「ルークやっと起きたね。こんなに気持ちよさそうに寝ているところは久しぶりに見たよ」
カミラに言われて先ほどまであった疲れはいつの間にかなくなってとても体調がいい。
「確かに体調はもう完全に良くなった気がする」
俺はベットから出て立ち上がる。
しっかり立つことができしっかり歩くことができる。
「うん、体調は良くなったみたいだね。これから先生を呼んでくるから寝てて」
そういうとカミラは部屋から出ていった。
俺が寝る時も俺のそばにいたのに起きた時もそばにいた。
もしかして俺のそばにずっといてくれたのだろうか。
とても心配をかけてしまったなと思いながら先生を待った。
「はい確かに熱も下がっているみたいですね。顔色も良くなっていますので自室に帰っても問題ないでしょう」
先生はそういうとそのまま部屋を出ていった。
先生が出ていったことを確認すると俺が口を開く。
「ルークほら帰るよ。でも部屋に戻ってもゆっくり寝てないとダメだからね」
どうやらカミラは自室に戻っても俺を寝かせるつもりらしい。
「もう体調も万全だしこれだけ寝てたからちょっとは体を動かしたいな」
「ルーク、もし自室から出ようとするなら私が貴方の体を動かなくするから。それに全く眠くないのならずっと私とおしゃべりしておこうか」
カミラに冷たい視線で言われて俺は何も言えなくなった。
結局その日はずっとカミラとの昔話をした。
まるで最終回みたいですけどまだまだ続きます。




