75話 教室での喧嘩
「ありがとうございます。師匠」
テオ君は頭を上げる。
テオ君の顔を見ると笑顔になっている。
それほどうれしかったのだろう。
「これからよろしく。テオ君でも師匠はやめてデニスって呼んで」
流石にクラスメイトから師匠と呼ばれるのは恥ずかしい。
「わかったデニス。俺はこれからどうすればいい」
テオ君はやる気があるようでさっそく修行をする気のようだ。
「うーんそうだな。ならまず君のやることはしっかりご飯を食べてゆっくり休むことかな」
俺の言葉を聞くとテオ君は意味が分からないようで固まってしまう。
「何言っているんだ。俺は少しでも早く強くならないといけないのに。俺は休んでいる暇なんてないのに」
テオ君はそこまで言うと頭を押さえて床に手をついてしまう。
「君はこの前魔物に襲われた時にたくさん血を流したからね。腕は繋がったけどまだ血が足りないんだよ。それなのに今そんなに動いたら体に良くないから今はご飯をたくさん食べてしっかり休まないと。訓練はそれからだね」
今日最初テオ君の顔を見たときは顔色が悪かった。
昨日休んでいたのも精神的な物もあるだろうが体調が悪かったのもあるだろう。
「わかったデニスが言うのならしっかり休む。あと今から食堂に行く」
テオ君は俺の言うことを疑わず聞いてくれた。
「デニス今から食堂に行こう」
テオ君は一人で行かずに俺を連れて行こうと思っているのだろう。
「ちょっと待って」
テオ君は俺連れて行こうとしたところをレットが止める。
テオ君は俺の弟子になったことが嬉しかったようで完全にレットの存在を忘れていたようだ。
「デニスさんを勝手に連れて行かないで。デニスさんは私の物なんだから」
「いや私はレットの物ではないから」
どちらかと言うと俺は騎士になろうとしている。
レットはお姫様なのだから護衛される立場になるだろう。
「ヴァイオレット様、ですが私は強くなるためにデニスの力が必要なのです。今日はどうか」
テオ君はどうしても俺と食べたいようで引き下がらない。
レットに歯向かう学生を初めて見た。
それほどテオ君の意志は固いようだ。
二人は睨み合いう。
どちらも引く気はない。
二人の様子を見ると教室にいるクラスメイト達の慌てている。
お姫様であるレットに歯向かっているのだどうなるか分からない。
そんな時二人の間にカミラが立った。
「ほら二人共喧嘩はしない。二人共デニスちゃんと食べたいなら三人で一緒に食べればいいでしょ」
カミラは二人を叱る。
二人はカミラに言われて納得は出来ないようだ
「ほら二人共何しているの一緒に行くよ」
俺はカミラの意見に乗ろうと思い二人に声をかける。
「仕方ないね。このまま睨み合っててもデニスちゃんとの時間が短くなるだけだし」
「確かにこのままでは時間の無駄になりますし」
二人はため息を吐くとそのまま俺についてくる。
「デニスちゃん人気者だね。私はうれしいよ」
カミラは俺の傍に来ると笑顔で話かける。
「そんなことないよ。それにカミラも凄かったよ。まるでお母さんみたいで」
さっき二人をたしなめる姿はまるで子供を叱るお母さんのようだった。
「ひどい。私は結婚どころか恋人もいたことないんだけど」
カミラは怒ったようで文句を言う。
そんなカミラを見るととても微笑ましく思いながら俺は笑顔になる。
「あーなんか笑ってる。デニスちゃんなんてこうだ」
カミラは俺を抱き上げると俺の頬っぺたを摘まむ
「いたいいたいごめんなさい」
俺は誤りながら四人で食堂に向かうのだった。
デニスちゃんの周りがどんどんにぎやかになりますね




