73話 クラスメイトの態度の変化
「えーここは少し前の授業で説明しましたが、」
先生の授業が続く、しかしここで俺がいないかった時にやった内容だった。
俺がどうしようか悩んでいると横の席の子から「どうぞ前回の内容はこれです」と見せてくれた。
「ありがとうございます」
俺が感謝をしながら見せて内容を見せてもらう。
これを見て授業の内容が分かったのだがそのあともクラスメイト達が俺の世話を湧いてくれる。
「うー疲れた」
午前中の授業が終わり俺はこの学園に来てから一番疲れた。
「デニスちゃんお疲れ様。今日は何ていうかすごかったね」
俺の傍に来たカミラからねぎらいの言葉をかけられる。しかし
「全部カミラのせいだからね」
ここまでクラスメイト達が変わった理由は分かっている。
朝エマちゃんとカミラのせいだ。
「おかげでクラスの子たちが優しくなったんだからいいじゃん」
「優しくなったんじゃなくて扱い辛い子になったんだよ」
「優しくしてもらえるならどっちでもいいでしょ」
「よくない」
授業が終わりカミラと話していると俺の傍にいつもは話しかけても来ない女の子がきた。
「あ、あのーデニスさんお昼はどのように」
女の子はびくびく怯えながら来た。
もしかしたら俺を一人にしたらエマちゃんにいじめてると思われると思っているのかもしれない。
「お昼は大丈夫です。たぶんそろそろ」
俺が教室の外を見ると最近見慣れた子が現れる。
「デニスさん一緒にお昼食べよー」
俺が断ると次はレットが現れクラスメイトがさらに凍り付く。
「先約の方がいらっしゃるのなら大丈夫です」
女の子はレットが現れるとすぐに離れて行った。
「あの子は?もしかしてまたデニスさんに変なことしてないよね。もししたのならそろそろお父様に」
「してないしてない。何もされてないから大丈夫だから」
俺は全力であの子から何もされていないという。
このままレットを止めなければ何をするか分からない。
それに女の子が完全に泣き出してしまっている。
「そう、何もされていないならいいけど何かされたら言ってね。すぐにその子の親を呼び出して教育をし直してもらうから」
レットが俺に向かって笑顔で言う。
その言葉でクラスメイト達全員が教室からそそくさと出て行ってしまう。
俺がクラスメイト達と打ち解けるのは不可能だと改めて実感した。
食堂に行くとエマちゃんが席に座っていた。
「エマ様席ご一緒してもよろしいですか」
「いえ約束がありますので」
エマちゃんが言うとその子はすぐにどこかに行ってしまう。
「エマちゃんよかったのあの子を断っちゃって」
俺が席に近づくとエマちゃんに声をかける
「いいのいいの今はデニスちゃんと一緒にご飯を食べたいから」
その言葉を聞いて俺はエマちゃんが座っている机に座った。そしてレットも同じく席に座る。
「エマ様は今日も人気者ですね」
「そんなことないよ。それに人気者なのはレットも同じなんじゃないの」
「そんなことはありません私は変わり者と有名ですから」
二人は席に座ると楽し気に話をする。
「え?レットは誘いを断って私のところに来ているの。申し訳ないからそっちを優先していいのに」
もし俺のせいでレットの友人関係が壊れてしまったら大変だ。
「大丈夫。どうせ王家に取り入りたい人ばかりだから。それはエマ様も同じですよね」
「まあ大体そうだろうね。なんでだろうね私なんてただの平民なのに」
エマちゃんはさらっと言うけどソフィアの力を知っている俺からすると少しでもエマちゃんからの印象をよくして何かあったら助けてもらいたいのだろう。
特に学園を卒業したら領地を持つ人が多い貴族ばかりのこの学園でははやり病が流行ったりしたら大変なことになる。
エマちゃんとレットのとの食事が終わると俺は教室に戻りまた気を使われながら午後の授業を受けた。
翌日またいつものように挨拶をしながら入ると初めてクラスメイト達に挨拶を返された。
俺は席に座ると一人の男子生徒が来る。
その男子生徒はこの前魔物に襲われたテオ君だった。
テオ君が近づくとカミラが俺の間に立つ。
「デニスちゃんになんかよう」
カミラの方が体が大きいためテオ君を見下ろす形になる。
「デニスさんどうか俺を強くしてください」
テオ君がいきなり俺に向かって頭を下げた。
昨日と同じように俺はクラスメイト達から注目された。




